2-自己紹介

 アヴァロンという国はイギリスの北にある国だ。EUに所属し、首都キャメロットには国を統治する女王が住んでいる。学問が発達した国でもっとも多くの移民が住んでいる国でもある。最新技術はここから産まれ、GDP(国内総生産)は世界でもトップクラスの豊かな国だ。


 主な使用言語は英語だが学問の国と呼ばれるだけあって2から3の言語を使えるものも多い。絵里がこの国に移り住めるのも日本語を話せる人間が多いからだ。このあたりは日本好きな人間が多いからとして理由が上げられる使える通貨はドル。イギリスとの関係が最も深い国でもある。


人口は7000万程、歴史的に見れば若い国で高齢者よりも若者が住んでいる。


名門校キャメロットに編入してきた神崎絵里は今日からこの学校の2年B組で勉強することになる。


5月という中途半端な時期に転入してきたのはこの国母国語が英語であり

英語教育と編入手続きのためだ。


英語はまだつたないがこの国では2か国以上の言語を使用しているものがいる為、つたなくて言葉は通じる。この国の人間が日本好きというものがある。


「それじゃあ神崎さん教室に入るけど緊張してる?」

担任のジャスティン先生から優しい言葉をかけられる


「お気遣いいただきありがとうございます。でも大丈夫です。名門校のクラスなのだからみなさん学者さんのようなおとなしい方だと思いますから」


その言葉にジャスティン先生は苦い顔をする。何かまずいことに触れてしまったかなと絵里は心配そうな表情を見せたので


「ああ、いや大丈夫だ気さくでいいやつらだから、きっと君も素直になじめると思う

。じゃあそろそろ中に入ろうか」


 ジャスティン先生の後に続いては行ってみると予想はしていたもののその光景に驚く。国際交流が盛んになったといっても日本では外人を見る機会はそんなにない。


 しかし教室にはいろいろな顔があった。金髪の生徒やアジア系の生徒。アフリカ系など様々な生徒がいる。日本人である絵里を好奇心を持ってみているが決して不快な視線ではない。


ジャスティン先生に促され自己紹介をする。

「日本から来た神崎絵里です。よろしくお願いします。」


自己紹介をした瞬間、大歓声

「ねえ日本って何が美味しいの」「今でも侍とか腹切りとかってあるの」「アキハバラという街にはメイドさんしかいないのかい」


あっという間にさばききれないほどの質問攻めにあった。予想外のテンションの高さに驚きと戸惑いを隠せない


見かねたジャスティン先生が

「あー静かに彼女への質問は休み時間になってからにしようか。彼女は事情があってこの時期に編入してきたが解らないことが多いだろうからぜへ助けてやってくれ」


とフォローしたのが無ければ彼女は困り果てていただろう。

イメージしてたのと随分違うなあと絵里は思った。名門校であることを聞いてもっと学者肌のような人達を想像したので


あっけにとられていたが、歓迎ムード一色なのと心から仲間が増えるのが嬉しいと感じるので嫌悪感は感じなかった。とても暖かくて優しい。


「すまないね。このクラスは異常にテンションが高いというか、常に酔っぱらったような感じというか元気がいいが、他のクラスとちょっと違って問題行動も引き起こすが根はいい子達だ。できれば好意的に接して欲しい」


絵里の戸惑いを感じたのか、そんな言葉をジャスティン先生がかけてくれた。

ああ、いいクラスだなと思う。前の学校ではこのクラスのような暖かさはなかった。

自分の境遇に問題があったがそれでも端的にいえば冷えていた。


しかしこのクラスからはとても楽しいものを感じた。ここなら上手くやっていけるだろう。後は自分に課せられた使命をどうこなすかだ。


「さあ、新しい仲間が増えたところでそろそろ授業を始めよう」




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