第5話 始まりの森の洞窟
「むにゃむにゃ・・・おはよう、おにいちゃん」
天にも昇る気持ちってこういうことなんだと、実感する言葉。
俺は生きている。
ああ・・・感無量だ!
涙が止まらん。
俺は走って妹に抱きついた。
いや抱きよせてぎゅっと強く、そしてやさしく包み込むようにそっと抱きよせる。
それは、まるで時間がゆっくり進むようなストップモーションのように時が進もうとしていた。
だがしかし、俺と一緒にきた精霊幼女が後ろから見事ともいえる、間一髪、綺麗に後頭部にドロップキックが入った。
「オラー!このシスコン下種野郎。暗闇に寝ている妹にストリーキング状態でレイプするな!」
俺は頭からすっころびながらも、詳しくは言いたくないが小学生の妹にラッキースケベ状態になっている。
「お兄ちゃんもーまだ明るくないからって・・・激しいのは・・・もー誰かに見られちゃった。恥ずかしいよ。お兄ちゃん」
うん?何かおかしいこの違和感!俺の妹が凄くかわいい。今まで以上に。異常ともいえるぐらい可愛く見えるぞ?
まさか?異世界転生お約束の魅了のスキルが発動しているのか?
俺ってスゲー!?って違うか?
まさか、逆に魅了にかかってる俺?
とりあえず、周りを見回して、身に付ける物を探すと、身近に幼女精霊がいたので、俺の大事な邪神という武器をシークレットサービスをしてもらうことにした。
多分、100人いや、1000人いてもこの行動は不自然だと思うだろう。だが、今はこうするしかない。身を守るためだ!
なぜならば、命の危険があるからだ。状況が状況だけに・・・
妹が寝ていたのは、聖獣いや神獣といえる白虎。足を噛んでいるのは亀?ってことは玄武?
それに腕に絡まっているのは蛇?いやギャラトゥース?いや青竜?
妹の目を隠して、俺にガンを飛ばして睨みつけているのはホーウオーウ・・・朱雀だな。火を口からチョロチョロだすな。熱いだろう!まったく躾がなってない!
でも、まだヤバいのがいるな。こっちにくるよ。洞窟の奥から、暗闇が明るくってくる。
こうなればピカピカと放電しながらゆっくり近づいてくるのはポケモーンスターは・・・麒麟だな。
ふー危ない。危ないピカ◎〇△と言うとこだった!
俺の目の前まで来ると、妹の寝ているところには消えかかった焚き火しかなかったが、急に明るくなった。
洞窟の大聖堂状態になった空間に無数のロウソクがつけたように、洞窟の広間全体が明るく照らされる。
そこには世にも愛いらしい光景がひろがっていた。
なんと、この森に棲んでいる以上のあらゆる動物や魔獣がこっちをみていた。
「あのーヒジちゃん。ヒジリ・・・これは君のお友達さんかい?」
まだ眠いよってつぶやきながらも妹の未来聖(ミクヒジリ)10歳は目をこすりながらも答えようとしていた。
「ハァ~ア。ヒデにーあのね。この子達は私のお友達なの」
あくびををしながらもゆっくりと異世界に来る前からのことや、何でこの状況になったかを教えてくれた。
そう、あの日の朝おこった出来事からゆっくりと語り出した。
ヒジリが言うには、車で動物園に向かう前に、家から近いコンビニでお菓子とジュースを買うために寄ったそうだ。
コンビにの駐車場で車を止めたあとみんなでコンビニに入り買い物をしたそうだ。
父は商品を選んで購入を義理の母に頼み直ぐに携帯電話を片手にもって車に向かった。
義母がレジで支払うと、聖は一緒に義母と車に向かおうとしたが、駐車場に隣接する横断歩道橋の階段の前で大きな荷物を持った腰の曲がったおばあちゃんがいたので、荷物をもって横断歩道橋を一緒にわたった。
渡りきるとお婆さんお礼を言われて、飴玉をもらったそうだ。ちょっとうれしくなって走って、またコンビ二の駐車場に戻って車に乗ろうとしたとき、遠くにいるお婆さんの方を見て手を振ろうとした。
しかし、お婆さんは歩道の上で倒れて叫んでいた。
「ドロボー!私の大事な物を返してー。引ったくりー!あのバイクを捕まえてー!!」
やさしい妹は横断歩道橋をわたらず、思わず道路を横切ってお婆さんのところに向かってしまった。
バイクは対向車線なんてかまわず逃げたせいで、トラックが道路に横たわっているお婆さんに・・・
キキッツーー!! ドカーン!
やさしい妹の聖は、お婆さんを庇って・・・
俺はあの日、聖は父と義母で車で休日にイベントが開催する動物園と水族館に行くことは俺は知っていた。だがその後、聖や父たちに行動は俺には把握できていなかった。
義妹の聖はお約束の如く、異世界転生。
「あのね。ヒデにー聞いてよ。すっごい美人のお姉さんがいたの。ちょっと違ったな・・女の神様。そう、すっごいピチピチのギャル?あれー?パパみたいな言い方になっちゃうな。うーん・・・まあいいか!とにかく美人の女神様がね。謝ってきたの。そして、いいとこあるからって生き返らしてくれたの」
「そのパパって俺の親!それとも、その、ヒジリのパパのこと?まさか知らなくはないおじさん!!」
「おもしろーい、お兄ちゃんのパパでヒジリのパパだよ。やだな」
そんなアットホームな感じ?で話を続けた。
どうやら、勇者が必要な異世界があったらしいので、もれなくチートをもらって聖女兼勇者としてこの異世界に転生したそうだ。
大まかなチートスキルはテイーマーと言われる魔物使いと呼ばれるジョブスキルだったので今に至るそうだ。
まさかスライムだった影響で妹に飼われてしまうのか。
ある種の魅了効果かも・・・でも状態異常無効な俺には効かない。なんでもレジストするのがこれほど妬ましいと思ったことはない。魔物使いの魅了の力、恐るべし!
まだまだ話が尽きないようだが、妹のヒジリが眠そうなので二度寝をさせるべくやさしく聖を寝かせようとした。
「続きは今度。話し疲れたろ。成長期のヒジリを起こしてごめんな。もう少し寝ないとレディになれないぞ」
「大丈夫だよ。ヒデにー・・・それより、服を着た方がいいよ。風邪ひいちゃうよ!そうだ!」
そう言うと、ヒジリはパチンと指をはじいた。
すると、どうであろう小鬼のような魔物?そうコブリンとよばれる魔物が狼みたいな魔物に跨って俺に、布の服を持ってきた。
「ヒデにーこんなのでいい。それとも、私の着ている服のような修道女のような服?」
「あっ・・・修道女の服はいいかな。というより、普通の服でいいよ」
「でも、変なのよ。この世界の教会で働く人は男でも修道女服を着るのよね。おかしいよね」
俺は何とも言えない。その原因は多分、あの邪神の影響だとは言えないよ・・・
神様一同、どうかこの異世界に戻って来てやってくれ。この異世界がこれ以上痛くなるかもしれん。どうかこのかわいそうな異世界に一抹の希望を!
そう思いながら、洞窟の隅で、こそこそと着替える俺がいた。
「はい!そこのランタンの魔物!!こっちを照らすな!!」
そんなこんなで、いそいそ着替えて、妹のヒジリのところに戻ると幼女精霊が妹と笑いあっていた。
「そうなのよ。魔法がうまく使えないらしいのよ。生活魔法なんて、この世界なら生活魔法にかんするグリモワールでも読めば誰だってできるのにねwww」
俺はいつの間にか、ライトセーバーのような光るハリセンを手に持っていた。
俺は幼女精霊の後ろで気配を消しながら仁王立ちを続けながら話を聞いていた。
「この世界を創りし神の1神が祀られている神殿にも生活魔法や超難度の魔術や魔法の魔導書が眠る図書館や宝具保管庫があるのに、燃やすだけでは飽き足らず、燃やし爆発させあまつ、食べまくる暴食暴飲する極悪非道の悪魔みたいなバーサーカーがいるのよね」
「そんなことがあるんですね。ここにいる魔物や魔族も、命からがら逃げてきたそうなの。森やダンジョンに限らず隠れ里や秘境が災害があって最後の地といってこの洞窟にあつまっているのよ。怖いですわ」
「あっ!着替えたんですか。ヒデにー。バチィーン!!」
俺は光るライトセイバーハリセンを幼女精霊の裏モモにクリーンヒットさせる。
「名前も知らん破廉恥幼女になんでヒデにーと呼ばせる義理はない!それより、その図書館とか宝物庫ってどうゆ事かな?俺にも魔法を教える気がなかったのかなー?」
あまりの痛さに地面に転がりながらもだえる精霊幼女は少し嬉しそうに顔が赤らんでる。ちなみに妹よ。誤解をしないように。と俺は心から願った。
「ヒデにー!!」
聖が怒ってる!俺はあわてて言い訳をした。
「違うんだ。これは、ただ悪い邪神という奴を知らない間に弱らせてたら、なんか知らん間にこの幼女を助けて、それから勝手に邪神が死んじゃって、そしたら、いろいろあって、なんか知らない間にこいつと絆がうまれて、えーと、なんか、ヒジリがここにいるって聞いて・・・」
何を言ってるかわけわからなくなった。そんなパ二クった俺をなだめようとするわけでもなく聖は話を続ける。
「精霊様の名前わからないの?火の精霊魔神のエフリート様よ。でも、おかしいわ?氷の大地に封印されていたはずなのに」
ヒジリは思い出したかのように洞窟の隅っこで怯えている1匹の可愛い狼を指さした。
痛みをこらえながらも、スクッと立ち上がった幼女精霊エフリート。裏モモを押さえながらも腰をがくがくさせながら、かわいらしい狼の方に近づいた途端、幼女はさけぶ!
「あー魔獣フェンリル!私を封印していい気になってたくせに!ここまで逃げてきたの!氷の双子の精霊はどこなのよ。教えなさい!」
洞窟中に響き渡った怒鳴り声は場を凍らせた。
その冷気で小さな2人の氷の精霊は冷や汗を流しながらフェンリルの背中の毛皮から飛び出した。
「「ごめんさい。邪神様に言われたから、しょうがなかったのよ。エフリート許して!」」
そう言うと二人の精霊は動揺しながらも道連れを探そうと指を指した。
「ははーん。他の精霊もいるのね!出てきなさい!」
すると、俺に相変わらず絡まっている三獣とヒジリのソファーになっている獣が突然光り出した。それに続くように電灯がわりの麒麟がさらに光をました。
ポ◎モンではなく、ひとりポッチモンでもなく、愛らしいプッチモンスターばりのヒジリになついている可愛いい獣たちから妖精たちが飛び出した。
ギャラトゥースではなく青竜から、水の妖精がキラキラした霧を出しながらキラキラと飛び出す。
カメッツカメではなく玄武からは、土の妖精が宝石を散りばめた服を見せつけるようにキラキラと飛び出す。
ホーウオーウではなく朱雀からは、風の精霊が花吹雪を舞い上げと優雅にキラキラと飛び出す。
ソファーがわりの白虎からは、雷の精霊がフラッシュを連続してダンスを踊りながらキラキラ飛び出す。
蛍光灯がわりの麒麟からは、光の精霊が神秘的なカラフルイルミネーションを演出しながらピンスポットをあてつつ大女優ばりにキラキラと飛び出す。
人数を確認しながら火の精霊幼女エルフリートがモノ申す!
「よくも、私を見捨てたわね。それより、後・・・あの根暗の二人組みはどこなのよ!」
恐る恐る両手ですりすりしながら、二人の氷の妖精がご機嫌をうかがうようにすり寄ってきた。
「エルちゃん。闇の精霊ルーちゃんは邪神様の神殿にまだいるの。あの娘のことだから、おおかた、大事な本や宝物を守ってるとおもうわ」
「あと、木の精霊のウーちゃんは今も世界樹の大樹が燃えないように頑張っているとおもうの。だって私たちが生まれた里なんです。そういうところが真面目なんだけど死んじゃったら意味ないんだけどね」
考え深げにとぼとぼと火の精霊エルフリートが俺の前に来て神妙な顔で土下座をした。
「闇の精霊と木の精霊を助けてください。ルーは多分、邪神様が大切にしている宝物庫にいます。根暗で本好きで無口なボッチだけど、多分貴重な宝物や本を守ってます。だって邪神様の大切な思い出が詰まっているから・・・本当に邪神様想いのやさしい精霊なんです。それに、木の妖精は私たち妖精のおねーさんなんです。誰にもやさしいお母さんみたいな存在なんです。私たちが迷ったとき、何か見失っても、何も言わないで帰る場所を守ってくれる心きれいな妖精何です。だから二人を助けてください。」
俺は戸惑いながらも土下座している幼女精霊をゆっくりと立たせながら抱っこした。
「どうすればいいんだ。エフ・・・フリート」
真っ赤になった瞳からいつでも涙がこぼれそうな瞳でニコッとわらいながら言った。
「ホント困った者ね。原因がわからないのかしら。どっかの惑星喰いといえるプラネットイーターがこの星のマントルを刺激しちゃったから・・・大陸が沈んだり、出現するぐらいの地震や噴火が激しくなっているのを止めてもらいたいのよ。まずは邪神様の神殿に行きましょう。闇の精霊ルーちゃんを助けないと。あとは行けばわかるわ。」
俺は幼女の顔を見ながら頷くと、ヒジリが俺の背中に飛び乗った。
「私も行くわ。ヒデにー。私はこう見えても、聖女兼勇者何だから!」
俺の首をチョークスリーパーを決めるが如くぶら下がっているヒジリに落とされそうになりながらも、一緒に行くことを認めた。
その間に、俺の足元には妖精たちがまとまりついていた。
「「「「「私たちも連れてって」」」」」
こうして、俺たちは邪神の神殿に向かった。
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