第4話 行方不明者

「おかえりなさい。導師アラン」

「只今!死に戻りました。同胞達よ。今回の報告は後ほどでいいな。それより導師ラーの行方を教えて貰えます。」


修道女の姿の神霊体の導師アランは、真っ白なだだっ広い空間に舞い降りた。

唯の光り輝く空間ではない。神霊体の受け入れ施設としての空間でもあり、そう、空港にある発着ロビーのような機能を持った空間である。


ここはパンドアラークという宇宙輸送船。それも、単なる貨物輸送宇宙船ではない。

知的生命体が、多次元宇宙空間に進出するため兵器といっても過言ではない。

生物が住めないと思われる、過酷きまわりない惑星であったも、資源を搾取するための機械はもちろん、生命溢れる惑星に変えることもできる。


特筆することは、文明が滅び、資源が取りつくされ、悪魔や死霊、妖怪、怪異といった者が闊歩している死の星でさえ、侵食地として利用する技術を持っている。


このパンドアラークは知的生命体が単に宇宙侵略を目論んで宇宙航行しているわけではない。

高度技術を超越したエクストラ技術を持つ不老不死の知的生命体の目的は、我々が求めている神のような存在になるため・・・そう、高次元の存在になる為の更なる生命進化をするための実験宇宙船なのかもしれない。


今日もワープ操行・タイムトラベル・重力場を利用するなど、我々の理解できない力で過去未来それともパラレルワールドであろうと高次元の宇宙を航海する。


パンドアラークの数ある秘密はさておき、邪神となった導師アランは再び死に戻りにより、ここに戻って来た。


歓迎するかのようにワラワラやって来た特殊アンドロイドに封魂している知的生命体がアランを数十人で取り囲んだ。


その中の一人がオロオロしているアランの手を握り導師ラーについて答えた。


「導師ラーは貴殿と16年前、輪廻の輪からご一緒に御昇天され、星神として困難きまわりない惑星開拓の義を精力的に御活動されたのではないでしょうか。」


群衆の中からもう一人、もう一人とがこそこそと隣にいる者達に話をする。

「導師ラーが消滅したのか!」

「もしくは導師が封印されたのか!」

「いやいや、そんなことはないだろう。それとも討伐されたのか!」


憶測が憶測を呼ぶ。


群衆に緊張感と不穏な空気が漂う。

同時に、各部署といえる各所に連絡をまわす。


すると、何処となくあり得ない風が群衆に向かって吹いた。


一瞬、真っ白な空間が真っ暗になり、赤く光った気がした瞬間、一人の知的生命体とは違う、女神のような人物が現れた。


「あのーここでいいですか。星神ラー様の居場所が知りたい神様達がいるのは?」


すかさず、修道女姿のアランは、いかにも美の女神といわんばかりの女の髪をつかみ、床に、顔から全身をたたきつけた。


あまりにも突然のことで、群衆は何もできず眺めている。


美の女神みたいな女性は鼻血を流さんばかりにゆっくり起き上がろうとすると、頭を踏みつけられた。


「頭が高い。ここはお前がこれる場所ではないぞ。しかし、導師ラーを知っているのか?答えろ」


群衆はさすがにやりすぎている、アランに引いている。


「修道女コスプレにピンヒールはヤバいな・・・刺さってるよ。血が出てるよ」

ヒソヒソヒソ・・・・


素足からいきなり真っ赤なピンヒールで修道女のスリットから見える足は見事である。

でも・・・男の娘である。


そんなことより、めげずに起き上がる女神も大した物である。


「イヤーン、胸が大きくてコロんじゃった。テヘペロ」


胸を強調して起き上がる姿は破壊力抜群である。速攻で、群衆の中から何人か、導師アランをふっ飛ばして、女神を起こしはじめた。


「お嬢さん。お怪我はありませんか。このハンカチを使ってください」

「こんな小汚いところにわざわざ来てくださいました。至極恐縮です。後で送りましょうか」・・・・・


多分、この数人は当然、昇天して星神になるのはまだまだと思われるが、それはともかく、吹っ飛ばされても、ダッシュで戻ってきたアランはたいしたものである。でも、群衆がかこっていて、女神には近づけなかった。


アランの怒りは収まらず、大声で叫ぶ。

「導師ラーはどこなのよー!!」


その叫びで空間に一瞬の静けさが垣間見えた。群衆の中から可愛いらしい小さな声が聞こえる。

「・・・約10年前ぐらいに・・・星神ラー様はお供を連れて地球という惑星に向かいました。・・・そのあとのことは・・・わかりません。ごめんさい。これ以上は・・グスン」


涙が出てないのに、グスンって言っちゃいけないだろう。でも、守ってくださいオーラはすごいことになっている。群衆のほとんどがいい子いい子している。もちろん、こいつらは、イカンイカン言葉遣いが・・・この地的生命体たちは、まだまだ、星神にはなれないであろう。


その場で膝から崩れ落ちたアランは、両腕を二人の知的生命体にかかえられて別室に連れて行かれた。


その頃・・・アランとラーが創った異世界では・・・・


「チッ‼惜しい」


「おい、精霊幼女なんでこんな風になるんだよ!」

まだ明るい真昼間の昼下がり、今の状態を人には見せられない。それも、幼女精霊の頭の上にはちょんまげのように◎◎◎が乗っている。


「どうして、教えてもらった変身魔法を詠唱すると、素っ裸で、◎◎◎を幼女の頭のセナがらステータスを見なければならないんだよ」


「GOODロリータ ComeOnスキンシップって知りませんか」


俺は自然と拳に力が入るのがわかっていた。ステータス画面をしまいながらも怒りを抑える。

「YESロリータNOタッチだろ!俺はそんな諺も言葉も知らん!」


「もう少し移動したら、口に◎◎◎で既成事実だったのに、それとも、押し倒せれて・・・・」


なぜだろう、俺には無詠唱の才能がある。でも涙が止まらない。幼女精霊に往復ビンタばりのハリセンをかました。


パンパンパン


「ちゃんと魔法を教えろ!エロ精霊!手を出さないからってボッチ童貞でもないからな」


「この意気地なし、悔しかったら◎◎◎も大きくしてみろ」


パンパンパン


「頭に血が昇ってるんだよ。それに、変身した体のこの◎◎◎は既に凶器だろう」


「形と大きさは邪神様そっくりでございます。でも、まがまがしい邪悪なオーラが・・・」


バシ!ベシ!ドス!


なんとも、にぎやかにこの異世界や魔法等について、精霊にあれやこれやを聞いているころパンドラアークの一室では、泣きながら導師アランが今回創造した異世界について報告をしている。


「そうなのよ!邪神になった私が住む神殿に、いきなりマグマがあふれ始めたなっとおもったら、そこらじゅうに仕掛けといたトラップが発動したのよ。転移魔法もあらゆる魔法が使えなくなったと思った瞬間、黒い油と水が入ってきて、後は想像通り、マグマと接触、水蒸気爆発でドカン!」


「それで、水中で固まったマグマで覆われながらも石油で火が消えず邪神でも消滅仕掛けたというわけですね」


「簡単に言うとそういうこと。ただ、私はラーを大人しく持ってただけなのよ。それなのに山脈山頂にある神殿はおろか、その道中にある最強最悪のラストダンジョンといえる裏ダンジョンもめちゃくちゃになるわ、山脈の尾根に続く麓のドラゴンの血を受け継ぐ魔人の村も壊滅したのよ。やんなっちゃうわ」


「でも、噴火によって、聖なる泉に飛ばされたところ助けられたんですよね」


「感謝してるわ。でも、いくらエクストラハードモードで攻略したとしても、裏ボスともいえる邪神から攻略しなくてもいいわよね。マナーとして勇者になって、最後のダンジョンか最後の村で邪神を倒せる武器と防具を揃えてからきなさいよ」


「ですよね。何せスライムですから。勇者にさえならないままですからね。せめてパーティを組んできていたら・・・御怒りはごもっともです」


「でもRTA・・・リアルタイムアタックばりのスピードで攻略とレベリングをやってのけるなんて惚れちゃいそうだったわよ。ラーのことは忘れて2週目参加しようかしら・・・ポッ!」


聴取係の知的生命体は話を合わせながらも、詳しく異世界の状況を聞き出していた。でも、心の奥底では、早く修道女のコスプレをやめてくれないかと祈っていた。


あらかた、異世界の状況などの聴取を終えそうなとき、異世界管理の別部署といえる場所から報告が上がった。


聴取係の知的生命体はおもむろに立ち上がり,このルームから出ていった。


そして、モニタールームらしきルームに駆け込んだ。

「緊急、至急、異世界転生した未来英雄と連絡をとれ!」



この館内放送といえる通報がパンドアラーク内の各担当部署に通知が行き渡った。


星神アラン創りし異世界の異世界転送窓口に当たる女神が未来英雄に連絡をした。


「未来英雄様‼緊急連絡です。とりあえず、素っ裸で幼女と泥んこレスリングをやめて服を着てください」


「こっちは好きで泥レスやってるわけじゃね~んだよ。犯罪者あつかいしたら!お前の####◎◎◎×××・・・・」


見られた!絶対、殺す。証拠があれば隠滅してやる!!


「ようやく◎◎◎がおっきしてきましたね。見られて喜ぶ変態さんなんですね!ブヘッ‼」


俺のバックドロップが決まった。そのまま、しばらく犬上家状態でいろや腐れ精霊!


そんなことを思っているからか、心を読まれたかすぐに言ってきた。


「いい加減にしてください、もーイチャイチャしなくていいですから。要件だけ言います」


そういうと、パンドアラークのお偉いさんからの連絡を受けて連絡をしてきたことがわかった。


内容はというと、この異世界のはじまりの村に俺の義理の妹がこの異世界に来ていると告げられた。


俺は教えられた義理の妹がいる場所まで精霊幼女の魔法で転送したのだった。


「着いたわよ。ここは始まりの村と言われているところよ。でも、ここには妹ちゃんはここにはいないみたいね」


「どこにいるのかわかるのか」


「当然だわ。この究極精霊にかかれば簡単よ!村はずれの森の洞窟に反応があるわ。さあ、行ってみましょ」


俺は精霊に言われるまま、森の洞窟に向かうのであった。

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