第2話 聖なる泉
「真実の解明をたのんだぞ同胞よ。始まりの魔法使い・・・あのーYouの名前を聞き忘れたな・・・」
「俺の名前は・・・いいや!昔の名前は知らん。でも今の俺の名前は未来英雄(ミクヒデオ)」
俺が名前を名乗ると天井や壁がぐるぐる回り、俺の視界は景色を飲み込むような感覚に陥り、そのまま異世界転生させられた。
そして異世界に新たな生命が生まれることになった。
それは始まりの魔法使いと呼ばれる者の新たな物語になるはずだった・・・
あっ!
終わった・・・・
っておい!どういうことだよ。
俺は服も着てないぞ!それに赤ちゃんでさえなく泣くこともできないのか。
だって今、俺、ミジンコ?ゾウリムシ?ワムシ?アメーバー?
おいおい、俺はプランクトンか何か微生物かよ!せめて異世界ならスライムぐらいにはしてくれよ!あの○○宇宙人◆◆!今度あったら×××して△△△△でヒーヒー言わしたる。あと◇◇◇で◎◎してやる。□×#&・・・
単細胞体から分裂してようやく多細胞生物になる。せめて知的生命体から始めさせてよ~
後悔より恨みに近い、心の叫びがやまず心の血涙を咽び破壊衝動に駆られたときだった。魂に響くような声がした。
・・・・未来英雄・・・無理なお願いを聞いてくれたお礼です。
せっかく異世界転生を男子のロマンと聞いたのでかなり楽しめるようにしました。
ちなみにイージーモードではなく、ハードモード・・・とはまったく次元が違う、最上級エクストラモードで異世界転送を完了しました。
前回は始まりの魔法使いとして降り立ったときはスペシャルハードモードのようだったと解析できたから、より難しい難度でも楽しめるように配慮致しましたが、・・・大丈夫ですよね。
あまり無理せず、せいぜい異世界旅行気分で愉しんでください。
それとクエスト報告は忘れずによろしくお願いします。いつでのYouを見ていますからね。
我ら同胞よりバックアップはまかせてください。
どうか異世界クエスト楽しんで解決に導いてください。
・・・・・・・・・
はー!!!何だとーーーーー!せめて!チートぐらいよこせーー!!
チクショウ!!喰われて終わりかよ。0.001秒で死ぬ自信しかない。死にゲーのムリゲーの上に糞ゲーかよ。これが同胞の始まりの魔法使いの待遇かよ!
俺は真っ暗な液体状の中であきらめながらも心でつぶやいた・・・
------ステータスオープン------
未来英雄(仮名?) 年齢?歳 レベル?
種族:広義アメーバみたいな感じ?(中二病感染状態)
職業:・・・(いりますか?生きてるだけだよ・・)
HP:ほとんど0
MP:気持ち次第
その他のステータスありますけど必要ありますか?
..............
..............
..............
------ステータスクローズ------
何だろう。涙が出る器官もないのに涙が溢れて、嗚咽している気がする。
これ、絶対、同胞が俺をイジメてるよね。間違いなく、恨まれているよね。
俺は過去に何かやらかしたのかな目頭が痛いぞ・・・・
あれ、今・・・俺死んだのかな。何かに飲み込まれた・・・
これで俺は死んでまた戻れるんだ・・・・
良かった。良かった・・・よか!った?のかな????
しばらくすると俺は何かに取りこまれて消化され、また、同胞がいたあの部屋に戻るのかとおもったら・・・・
戻らんのかーい!
俺は別のアメーバに取りこまれて、そのアメーバを乗っ取っていた。
どういうこと?
理解がついていけない俺はもう一度、魂から叫んだ!
ふざけんなー。どーなってんだよ。この生命体はー!
叫んで、叫んで、叫んで、叫びまくった。
状況は一向に改善されない。
さらに詳しく状況を説明すれば、また、他のアメーバーに吸収され続けた。
たった数時間で数千のアメーバに取りこまれ、その都度、取りこんだアメーバーの意識を乗っ取っている。
ふと気付いた。どんな微生物でもアメーバーでさえ、普通は人が持つ感情や意識を持っていないだろう。
そんなことを思っていたら、喰われることも取り込まれることも、苦痛ではなくなり、だんだんと気持ちが落ち着いてきた。冷静になった俺はもう一度意識する。
------ステータスオープン------
未来英雄(仮名?) 年齢?歳 レベル?
種族:アメーバ以上スライム未満?(致死レベル重傷:お花畑中二病感染状態)
職業:・・・(生きてるだけで丸儲け)
HP:ほとんど0かも
MP:気合い次第
その他のステータスありますけど気が向いたら表示してやる
..............
..............
..............
スキル:吸収 浄化 無呼吸 不死 物理攻撃無効
------ステータスクローズ------
Σ(゜Д゜;エーッ!おいおい!やばい!やばい!って!
喰われて進化したーウッヒョー!!
このままいけばスライムにはなれるかもなー。
なっても・・・ふー。スペシャルハードモードかよ。
でも・・・やり方次第では・・・ムフフー
これってもしかしたら、スペシャルエクストラチートかも!どうせ死にゲーのムリゲーのクソゲーならやりたいようにやってやるぜ。
それに、喰われて進化するんだったら、喰っても進化できるだろう。
まずは、喰われる前に食い尽くしてやる。スキルを増やしまくってやるぜ。
思い立ったが吉日だ。
俺はおなか一杯になるまで喰らい尽くしてやる・・・・
気合いだけで手あたり次第なんでもむさぼった。ゴミでも水の汚れである汚泥でも・・・
いくらでも食べれる気がした。お腹いっぱいになる気もしない。
ただ、水中を洗浄する機械のごとくなんでも取りこんだ。
いつの間にか・・・・水の中のあらゆる者を喰らい尽くし、水底の砂や石、岩まで食べつくす。
表層の冷たく硬い岩盤をかみ砕き、氷河を突き抜けるまで喰らい。下層には汚く石油のような油を含んだ堅い層も余裕で喰らう。さらに深く深く喰らい尽くす。
マグマが出るまで・・・
そして、氷雪地帯の荒野につき進む。氷河地帯の氷河を解かさんばかりの地下水が溢れだす。
いつの間にか真っ暗な環境中にあった、唯の水溜りがいつの間にか池に変り、泉が川となって湖や海に流れてゆくことに気がついた。
しかし俺は極寒の寒冷に温泉のような池が出来ても、あらゆる成分を喰らい尽くす。
いつの間にか、水中に発生した藻や微生物に限らず水生昆虫や水生生物まで喰らい尽くす。魚や貝、エビといった小型な生命に限らず、捕食者の頂点になる物すべてを喰らわんばかりに・・・・
砂でも汚泥でも喰らい喰らい尽くす。
水面に落ちた落ち葉や小枝、それに流れてくる漂着物の丸太までなんでも・・・
この時ようやく気付く。
ここは寒冷地ではなく、ここは春を待っていると。
季節が冬だということに・・・
そして、この越冬地に余りにも綺麗な水をたたえる、聖水が湧く泉が生まれることになった。
このころになると、俺のステータスもかなり変化することになっている。
------ステータスオープン------
未来英雄 年齢0歳 レベル1
種族:セイントスライム(ホーリースライムから進化)
職業:守り神(擬態)
HP:10
MP:1000
謹啓
いつもお守りいただいてありがとうございます。
どうかこの下賤なステータスですが何卒を表示させて頂いてもよろしいでしょうか。もちろん、疑問を抱かせるような難しい表示等は致しません。御推察、ご検討の願い奉ります。 謹言
スキル:スキル吸収 MP吸収 HP吸収 運吸収・・・・・
洗脳 寄生 浄化 無呼吸 不死 物理攻撃無効 状態異常無効・・・・・・
上記以外にも スキル・加護等のご要望があれば何なりとお受けいたします。
------ステータスクローズ------
何々!ヤバいヤバいヤバい!!!
ステータスの画面が妙に変になってきてるー!!
俺なんか悪い事した?
もしかして、ステータスさんからも更にある種の偏見を持たれてしまってるぞ。
まるで殿様あつかい。
イヤ・・・どう考えても流れを考えると御一人様・・・ポッチ様扱いだろう。俺が何かしたのか~い!
あっ・・・やらかしてしまったのかもしれない・・・・・
我が物顔で喰いまくったもんな・・・はーー・・・
ヤバい奴と思われてんな。でも気にするのはやめよう。
そう言えば、知的生命体もいってたもんなー。
同胞達が荒野が広がる大気のない惑星でも、住めるように侵略するって言ってたな。
始まりの魔法使いが何もない惑星に降り立てば、草木を生やし、大地や大気そして自然を作り変えるって・・・
プラネットイーターか・・・・惑星喰いって奴なのか・・・
そういうことだよな。うん。俺は悪くない。気にしない気にしない。ウゥゥゥゥッ・・・
ホントに気にしないもん。グスン。
とりあえず俺はポッチじゃないだから。グスン。
荒んでいた俺の心にふと湧き上がるこの思いをわかってくれる奴はいないのかな・・・
そうだ!!このスライムの姿でも友達を見つけられるってことを証明してやるぞ。
ポッチじゃないってことを!!
見てろよ!ステータス!
それより知的生命体よ!!少しは察してバックアップしやがれ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます