陽だまりの彼女
陽だまりの彼女①
……今回のお勧め本は強敵だった。
「なんつーかさ、ラブストーリーとかある?」
栞裕太郎のなんともない感じのリクエスト、そこに他意はないとは知りつつも、それでも飛び出る心臓を飲み込むのが精いっぱいだった。
声がつまり、しどろもどろになりつつ了解したのが一昨日の話、そして一晩考え会心の本を選んでお勧めしたのが昨日の話だ。
陽だまりの彼女 越谷オサム緒 新潮文庫
表紙を描いてる人は漫画も描いてるらしいけど詳しくは知らない。だけどいい味を出してる。
それもあってかこの小説はランキングの上位に食い込んだりミリオン越えたり、さらには実写映画化までした真っ当ストレートな大本命だ。
そういう意味では手堅いお勧めだけど、それを置いてなお、自信をもってお勧めできるラブストーリーだ。しかも最後にはアッと驚く大どんでん返しからの怒涛のハッピーエンドが待っている。
その性質上、あまり詳しく内容を説明できないけれど、そんな本だからこそビブリオマニアとしてはお勧めしがいがあるというものだ。
今回のお勧めは強敵だった。だが完全勝利である。
「やったったで」
まだ栞裕太郎は来てないが、それでもちらほらと生徒は集まりつつある朝の教室で、本田花子は周囲に不気味がられるような含み笑いを抑えられなかった。
と、そんな教室に雄太郎がやってきた。
…………その顔は、まるで幽霊でも見たばかりのような、真っ青な顔だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます