③
悠太郎が困ってるのはわかるけど、花子はどうしたら良いのかわからなかった。
「……それで、どんな感じなの? 内容はさ」
「あ、はい。まだ途中なんですけど、物語としては主人公が獄中で書いた手記、という形です。どうしてこうなったのか、を告白してゆくミステリーみたいです」
「あ、そうなんだ」
「それで、主人公は子供のころの恋人だった少女と死別して、そのことを引きずって、大人になって結婚したのですが上手くいかなくて別れまして、そして今はその少女を思い出させる少女、ロリータと出会ったところです」
「……そこらへんで辞めといた方がいいんじゃないかな?」
「え? あの、栞君は、この話のオチを知ってるんですか?」
「知らない。知らないけど想像はできるよ」
「あ、そうなんですか。やっぱり男子の間では有名なんですね」
「いや、まぁ、うん」
「でも途中まで読んでしまったので、気になるので最後まで読んでみようかと」
「あーーーーーうーーーーーーん」
悠太郎がすごく困ってる。
一体全体、この本はどんな酷い話なんんだろうか?
「あの、栞君はこういった古典のサスペンスはお嫌いですか?」
「嫌いっていうか、古典は詳しくないけど、サスペンスは好きだよ。だけど、それはサスペンスじゃなくて……ラブストーリー、かな? 多分主人公とロリータの」
「そんな、ないですよ。親子ほど歳が離れてるんですよ? それじゃロリ……」
全部が繋がった。
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