悠太郎が困ってるのはわかるけど、花子はどうしたら良いのかわからなかった。


「……それで、どんな感じなの? 内容はさ」


「あ、はい。まだ途中なんですけど、物語としては主人公が獄中で書いた手記、という形です。どうしてこうなったのか、を告白してゆくミステリーみたいです」


「あ、そうなんだ」


「それで、主人公は子供のころの恋人だった少女と死別して、そのことを引きずって、大人になって結婚したのですが上手くいかなくて別れまして、そして今はその少女を思い出させる少女、ロリータと出会ったところです」


「……そこらへんで辞めといた方がいいんじゃないかな?」


「え? あの、栞君は、この話のオチを知ってるんですか?」


「知らない。知らないけど想像はできるよ」


「あ、そうなんですか。やっぱり男子の間では有名なんですね」


「いや、まぁ、うん」


「でも途中まで読んでしまったので、気になるので最後まで読んでみようかと」


「あーーーーーうーーーーーーん」


 悠太郎がすごく困ってる。


 一体全体、この本はどんな酷い話なんんだろうか?


「あの、栞君はこういった古典のサスペンスはお嫌いですか?」


「嫌いっていうか、古典は詳しくないけど、サスペンスは好きだよ。だけど、それはサスペンスじゃなくて……ラブストーリー、かな? 多分主人公とロリータの」


「そんな、ないですよ。親子ほど歳が離れてるんですよ? それじゃロリ……」


 全部が繋がった。




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