第4話 「結局彼女は出会う。」
「ぃよっす!サヤ!」
教室に着くなり突っ伏して寝ようとしている私に、ミサキはなんの躊躇もなくのしかかってきた。今日はギャル友とつるみ始めてから滅多にしていなかった夜更かしをしたのでものすごくテンションが低かった。簡単に言えば眠たいのだ。
「ほはほー(- -)。°」
ついでに呂律も回らなかった。酒に酔ってるというわけではないし、飲んでもないのだが、ただ単に寝不足でテンションが低いだけなのだ。
「おやぁ?サヤねてんじゃんw」
例の『愛を呟くあの子.MP3』の作者が言った。
「ぁれのせぃで、こんやねむれなかったんだよぉ?(-_-)#」
半分寝た状態でリコに言う。端で見ていたミサキは笑っていた。
「なにぃ?サヤ同性愛者ぁ?」
笑い疲れた様子も見せず、ミサキが言った。
「かわぃぃ声はいっぱいきぃていたいのぉ〜(- -)」
「そういえばさぁ〜こんなとこに机なんてあった?」
リコの視線の先に、昨日まではなかった机一式があった。転校生だろうか。
「てんこーせー来たらいいねぇ〜」
「サヤババ臭〜」
「うっせえ〜(- -)」
あははは、と笑い声が重なる。
そしてチャイムが鳴り、二人は自分の席に戻った。
私だって世界がうまくいくようなもんじゃないことくらい分かってる。だが、行くときは行く。そのことを私は知らなかったみたいだ。
「今日は転校生が来るぞ」
先生が教室に入ってくるなり言い放った。
そして「入れ」と台本通りの台詞が放たれた。だが、入ってきたのは台本通りの見知らぬ男の子ではなかった。
「あ、無理してる子だ。ぃよっす」
あの小柄の少女だった。
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