第3話 「出口で私はすれ違う」
そして言われるがまま、ネットカフェに来た。
「とりあえず三人で三時間」
少し真面目モードに入るミサキ。こうやって見ると、ミサキもリコも、顔が整っていて、彼氏を持っていても違和感がない。それに比べて私は…
「そしてあなたは、考えるのをやめた」
不意に耳元で囁かれる。振り向くと、あの子がいた。訳がわからなくて、ただあの子の背中を見つめることしかできなかった。
それをリコはニヤニヤしながら見ていた。
「見せ物じゃないよ!」
「あはは、ギャル後輩が怒った〜w」
「リコ、サヤ、行くよ〜」
「待って〜」
スタスタと入って行くミサキに私とリコは小走りで追いかけた。
個室に着くと、「あたしとリコ一緒がいい〜」とミサキがいうので、仕方なく、私は別の個室へ、リコとミサキは同じ個室に入っていった。
「はぁ〜」
大きくため息をつく。
「なんなんだよあのチビロリ娘、ほんと、ワケワカメwww…わらえねぇー(棒)」
リコに聞こえないようにぼやく。
「まいっか。とりま、スマホ充電っと。あと、放置ゲーの周回も。その間に漫画でも読んどきますかナ…」
手際よく環境の整備をし、あっという間に二時間経ってしまった。
「おっけー!おわったぁ〜まじ疲れたぁ〜」
リコの声が聞こえた。だが、それ以降の会話は雑音たちにかき消された。
しばらくすると、ミサキが個室にやってきた。
「ふふふ〜♡君にいいものをやろう…」
手の中には可愛くデコられたUSBメモリがあった。
「時間だし、そろそろ行こっか。あ、それなんだけど、お家で一人でお楽しみくださいまし♡」
そう言って部屋から出て行った。
そのあと、私たちはネットカフェで解散し、ドリンクで膨れた腹に軽くジャンクフードを入れて、帰路に着いた。「ただいまー」と言って正面の階段を上がる。部屋に行ってカバンを投げ捨て、即座にパソコンを立ち上げる。USBをハブに差し込み、制服を脱ぎながらヘッドホンをする。そして、USBの中身を見ると、テキストとMP3形式のものが入っていた。
「名前は、『愛を呟くあの子』…」
私の声が家中に響き、母にうるさい!と下の階から叱られた。
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