Part三・突然の治癒魔法

「水流さんは僕の魔法、見たことないですよね」

「魔法なんて一度も見たことない、というより怖い」

本音だ。

するとカオルはクスッと笑った。

「大丈夫ですよ、痺れを治すだけですから」

未だに自分は半信半疑だ。

「痛くはないのか」

「全然平気ですよ、ホラッ」

「おわっ、ちょっ」

なんとカオルは突然、自分に向かって指差すと大きな円を描いた。

自分はびっくりして少しのけぞった。

「数分も経てば痺れは完璧に消えます。ああ、これで今日使える魔法は残り29回…」

「お前っ、いきなりすぎるだろう。まだ心の準備ができていなかったというのに」

「慣れですよ慣れ。水流さんもそのうち使えるようになります」

ケラケラと愉快に笑うカオルを見ていると、ため息が自然とこぼれたのだった。


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❌オレ達は常識に囚われない❌ 月音ユリィ @suiru

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