第9話 ミサキ
リバティ・サン王国城下町(マックドバーガー)
(何でだろ?このお店凄く危ない気がする)
マックドバーガー、世界的人気を誇るファストフード店である。
「さてと!みんな揃ったね!」
タクマ以外の幼馴染全員が揃ったのを確認するとアイがそう言いだす。
「アイさん、御用って何ですの?それにその覆面男は誰?」
シンジはアイがサプライズの為に用意したプロレス用の覆面を被せられている。
(ギシン)
「今回ばかりは変わんねぇぞ!」
(デスヨネー)
「それじゃサプライズと行きますか」
そう言いアイは勢い良く覆面を取った。
「し、シンジ──様!?」
「久しぶりだね、ミサキちゃん」
ミサキは名前を呼ばれるとシンジを睨む
「貴方本物じゃ無いですわね、何の冗談かしら?アイさん」
「酷いよミサキ!本物だよ?それに何を根拠に偽物って言ってるのよ!」
「まず1つ目シンジ様はもっと男らしい人でした!2つ目私の呼び方が違う、ちゃんを付けるなんてあり得ないのですわ!そして最後に彼のランキング、本来のシンジ様ならあり得ないのですわ!!」
ミサキはシンジのランキングをタブレットで表示してそう言った。
「なるほど!俺が感じた違和感はそれか!」
「本題はここからだよ2人とも」
アイはニヤニヤしながらそう言った。
「本題」
「ですって?」
「そう、ねっ!シンジ!」
(そこでボク!?ってまぁ自分のことだし自分で言わなきゃね)
「うん、ボク実はガライの町が焼かれて何やかんやで助かったんだけど、その前の記憶──つまり君達の記憶はないんだ」
「そんな、シンジ!記憶ないの!?」
「ごめんねヒヨくん、ミサキちゃん」
少しの間無言が続きミサキは立ち上がった。
「全く──来て損しましたわ、私はこれで失礼します!」
(やっぱり信じてはくれないよね)
「どうすんだ?そのままにしとくか?」
(ううん、信じさせてみせる!)
「ミサキちゃん!ボクと決闘をしてくれ!」
「どうしてですの?」
「ボクをシンジと認めさせる為だよ!」
その言葉を聞きミサキはニヤリと笑い口を開いた。
「売られた勝負は買うが礼儀ですわね、分かりましたわ!それでは行きましょうか、学園内の演習場へ」
「うん」
ガーディアン校内(実技演習室)
ガーディアンの実技演習室、ここは主に実技授業や学内大会などの予選フィールドとなっておりマッシブアイランドの時のような仮想フィールドを作ることができる。
「シンジ!どうして急に決闘をするようにしたんだ?お前らしくもない」
(ボクはボクだから──ボクがシンジ本人だからそれを証明したかったんだ !)
「はぁ?」
(ミサキちゃんはボクの顔を見た時本当に喜んだ顔をしてたんだ、でも違うと思った瞬間ミサキちゃん凄く絶望感のある顔をしてた、だから本当にボクが生きてるって証明して喜んでもらいたいんだよ !)
「結局何時ものお人好し行動かよ!言っとくが今回ばかりは手伝わねぇぞ!」
(どうして?)
「戦うのは好きだがこういうお人好し行為はそこまで好きじゃないからな!」
(でもランキングが上がったら強いやつともっと戦えるんだよ?)
「──よし!やるからには全力だァ!」
(ギシンって案外単純で助かるよ)
「それって、どういう意味で言ってんだ?」
(気を乗らせやすいって事だよ)
「これで良しっとそれじゃ始めるよ準備はいい?」
「ミサキ準備完了しましたわ!」
「大丈夫だよ!アイちゃん!」
アイは実技演習室にある制御スイッチを押すと床から太く長い柱が10本ほど現れ柱は途中途中に枝分かれして行く。
「これは──森?」
シンジの予想は的中し、柱には木の映像が投影されていった。
「それじゃスタート!」
アイの言葉と共に開始音が鳴り響いた。
(さてと、ミサキちゃんはどんな能力なんだろ?)
シンジはハートリガーを起動し剣を握りしめると辺りを警戒する。
(微かにだけど足音がする──こっから20、いや30mくらいかな)
シンジは耳をすませていると25mほどの位置で足音が止まり、コンコンと木を叩くような音が近づいてくる!
「気をつけろ!何か来るぞ!」
(分かってる!)
次の瞬間シンジの目の前に何かが飛んできた!
(弾丸!?)
シンジはしゃがんで弾丸を避けると背後にあった木に当たり反射して行った。
「どうやら遠距離タイプ、それも反射する特殊弾丸みたいだな!」
(うん、さっきの足跡からどの辺か予測は立つけど、弾丸を反射して撃ってきてるから正確には分からない)
シンジとギシンが考察をしていると弾丸が3発飛んできた!
「こっちの方はバレてるみたいだぜ?」
「なら!」
シンジは剣を盾にして弾丸を防ぐと次の瞬間シンジの体に激痛が走った!
「ゔっ!」
(一体どこから!?とりあえず)
「反発分身!」
シンジの居た位置からシンジとギシンは左右に吹っ飛ぶように分裂し、お互いに柱を盾にする。
「右肩──か」
ギシンはハンドサインで上を指した。
(上から攻めるって事か)
シンジは頷き弾丸が飛んできた方へ走り、ギシンは木の上へ登り枝を飛びながら距離を詰めて行く。
(何かがおかしい、本来遠距離タイプなら撃ったらすぐに距離を取り位置を変えたりするんだけど、なんで足音がしないんだろ?)
足音の消えた方向へ向かうとミサキが目を瞑った状態で足元にはギシンが倒れて居た。
「なっ!?」
(ギシンがやられてる!?)
「やっと来ましたか、やはり貴方は偽物ですわね、シンジ様とは能力が違いますもの」
「能力が違う?」
「正直言ってこの方が来た時は流石に驚きましたわ、でも──」
そう言いミサキはこちらにリボルバー型拳銃を向ける。
「これで終わりですわ!」
ミサキが引き金を引くと同時にシンジは右へ回り込むように走る!
「くっ!」
(ちょっと擦ったか!)
そしてシンジが剣を突こうと飛び込むとミサキは銃を納めながら左方向へ半回転しシンジの腕と肩を掴み肩を抑えるとシンジは剣を離してしまった!
(カウンター!?それにこの抑え方はまさか!)
ミサキは肩を抑えていた手を小さく離し同じ位置に強く手の平で打った。
「ぐっ!?」
(やっぱり月光拳か!)
「どうですか?貴方も貴方の分身も動けないでしょ?降参したらどうです?」
ミサキは抑えていた手を離し地面に這いつくばっているシンジを見下すようにそう言った。
「ボク達が降参──そんな事するわけねぇだろ!」
シンジは立ち上がる動作と同時にミサキに足払いをすると不意をつかれたミサキはすっ転んだ。
「なっ!?」
「さっきの攻撃って月光拳だよね?」
月光拳──神経を重点的に攻撃し行動制限を行う暗殺拳の1つである。
「どうしてそれを」
ミサキは銃を抜きシンジの方へ向けた。
「月光拳を使う知り合いが居たからね、それで対処法はついてる」
ミサキはシンジに向けて1発撃つとシンジはミサキの方へ飛び込むように弾を避けギシンと手を繋ぐと2人は1人に戻った。
(ギシン!大丈夫?)
「あぁ!もうバッチリだ!」
(ならアレやるよ!)
「おう!」
シンジは目を閉じるとギシンに入れ替わり目を光らせてミサキの方へ突っ込んで行く。
「どんな事をしようとも──」
ミサキは銃を収めミサキは月光拳の構えをすると一瞬でギシンの拳が目の前に来るが間一髪のところでミサキは避け、シンジの右肩を狙って掌底突きをするがギシンは少し距離を取り間合いから逃げた!
「私は負けられませんの、シンジ様の為にもっ!」
ミサキは体勢を低くしてギシンの懐に入る!
──がそれを読んで居たかのようにギシンはミサキに膝蹴りをしようと左膝を前に出すとミサキは膝を左へ弾いた!
(こいつ!)
「これで終わりですわ!」
ミサキはギシンのみぞおちに掌底突きを入れる直前にギシンはこれを待って居たと言わんばかりに腕を掴む!
「やっと!捕まえたぜ!」
「しまっ──」
ギシンはミサキを抑えるように掴んでいるミサキの腕を軸に回り込み地面に叩きつけるように抑え込んだ!
「形勢逆転、だな!」
「降参──ですわ」
「
ミサキがそう言うと試合終了のアナウンスが聞こえ、フィールドに配置されていた柱たちが収納されていった。
目の前に"ユウヤミ・シンジ様!勝利者コメントをご記入ください!"と書かれたボードが現れた。
(勝利者コメント?)
「多分これアピールみたいなものだね」
(アピールねぇ、そうだ──)
ギシンは唐突に打ち込むと直ぐに投稿した。
「こ──れは」
ミサキは俺が打ち取った!これは俺個人の感想だがこいつより強い奴は同じ学年には居ねぇな!だからお前ら俺に序列を抜かれるまで首洗って待ってろ!
byシンジ
ミサキはギシンの勝利コメントを見ると少し驚いた表情をする。
「お前は抱え込みすぎなんだよ、だからちょっとは俺にも持たせろよな!その──団長なんだからさ」
ギシンは少し照れながらそう言った。
「何勝手に団長とか言ってますの!私はまだ諦めてませんわよ!?」
「うるせぇ!俺が勝ったら本物って認めんだろ!なら良いじゃねぇか!俺はシンジでシンジが生きてんならファイブスター団のリーダーは俺なんだよ!」
「確かに勝ったら認めるとは言いましたけど──それとこれとは別ですわ!」
「別なわけあるか!認めるんなら俺はシンジだ!」
「いや、シンジはボクなんだけど」
(ややこしくなるからお前はちょっと黙ってろ!)
「待ってよ!ボク宿主だよ!?」
「とにかく──だ、俺はシンジ!ファイブスター団のリーダー、シンジだ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます