第8話 入学式

「シンジー!早くしないと遅刻するよ!」

「ちょっと待って!今行くから!」


 シンジは勢いよく部屋を出ると目の前にはアイがいた。

 今日はシンジ達の入学式である。


「ふぁ〜よく寝た、シンジ?どこ行ってんだ?」

(今日から学校だよ、ギシン)

「あっ!そう言えばそうだったな!」




「早く行こ!」


「うん!」

 2人は学校へ行く為寮を後にした。


「それにしても昨日は大変だったよね〜!」

「そうだね」


(タクマくん強かった)

「あぁ、アレが1年の最強クラスだろうな」

(どうしてそう思うの?)


「あの強さ只者じゃない、それに聖騎士って称号が何よりの証拠だろ?」

(そうだね・・・確かに)

「意外と元気そうじゃねぇか!俺はてっきりへこんでるかと思ったぜ?」

(まぁね、でもあんな人と戦えたんだ、嬉しいに決まってるじゃん!)

「それもそうだな」



「アイ!おはよう!」


 シンジ達は学校へ向かうと校門の前で少年が声をかけて来た。


「あっ!ヒヨだ!久しぶり」

「いや、久しぶりって3日ぶりだよ!」


(ヒヨくん──確か幼馴染の1人だったよね?)



「ってかアイ!?その横の人誰!?ももも、もしかして彼氏!?」


 ヒヨはシンジを指差しながら驚きの表情を見せた。


「え?この人シンジだよ?忘れた?」

「うぇ!?シンジ生きてたの!?」

(今の間は何!?というよりその質問凄く失礼な気がするけど)


「うん、ボクはシンジ──えーっと、ヒヨくんだよね?」


「久しぶりだねシンジ!なんか雰囲気が変わった?前はほらオラオラ系だったからさ!」

「そうだったの?」


(オラオラ系──なんかギシンみたいだね!)

「そうだな」


「そうだったのって?」

「ヒヨ!そのことは後でみんな集まった時に話そうと思うんだけどミサキはどこ?」

「ミサはもう先に行ったよ、あいつすごく気合い入っててさ!」

「あー、あの事ね」


「あの事って?」

「そっか、シンジは知らないよね!ファイブスター団の覇権争い」


「覇権争い?」


「ガライの町が焼かれたニュースを見てシンジはきっと生きてないって思ってたから」


(そうか、ボクは死んだ扱いになっているからリーダーが居ないって事になったのか)


「リーダーを失ったファイブスター団が次のリーダーを決めようとしたってこと?」

「うん、それでね次のリーダーを決めようとした時シンジの次に実力があって人望があるタクマが名乗りを上げたんだけどね」

(ボクってそんなに実力あったの?あんなにタクマ君にボコられたのに!?)

「当時って事だろ?今は違うからな」


 アイはそう言うと顔を下に向けた。


「だけど?」

「その時にはタクマはもうガーディアンここの高等部に居てさ、だから任せたくないって」


(ん?それじゃ何でタクマくんはガライが焼かれたこと知ってるんだろ?)

「簡単な事だ、世界的ニュースになったとか長期休暇期間で帰省してたとかな」

(長期休暇?)

「簡単に言うと1ヶ月くらい学校が休みの日とかあんだよ!」

(へぇ、そんなのがあるんだ)




「それで覇権争いが起こってると」

「うん、でもまぁ今更ながらシンジが生きてたんだからその話もなしって事にはなって欲しいんだけど──昨日のタクマを見る限りは無理っぽいんだよね」


「え?兄さんがどうかしたの?」

「これもまた後でだね、早く学校に行こっか!入学式に遅刻しそうだし!」

「ってもうこんな時間!?ほんとに遅刻しちゃうよ!」

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 ガーディアン校内(イベントホール)

「それでは次に進級生代表の言葉、進学生代表アカバネ・タクマ君前へ」


「はい!」


 タクマは返事をしステージを上がり代表の言葉が書いてある台本を開こうとすると一息ついて台本を閉じマイクに向かって口を開いた。


「本日は我々新入生の為にこうした式典を用意していただき誠にありがとうございます。私がこの学校に入ったのは親友達と誓った夢のため──円卓を目指す為にこの学校へ入学しました、こうして入学生代表としてこの場に立っていられるのもその親友のおかげでもあります、なので私はここで宣言します、私はこの学校を首席で卒業し円卓に入る!以上入学生代表の言葉とします」


 タクマは一礼するとステージを降りた。




(親友か──それってボクの事?)

「どうだろうな」




「続いて編入生代表の言葉、編入生代表タチバナ・ミサキ君、前へ」

「はい!」



 名前を呼ばれ1人の少女が返事をしステージへ上がり一礼をした。


「シンジ、あの子がミサキちゃん」

「名前で分かるよ」


「それにしても気にくわないな」

(何が?)

「周りだよ」


 ミサキがステージに上がると進級組の生徒達はザワザワと騒がしくなっていた。


「お黙りなさい!」



「私達に黙れですって?」

「庶民風情が失礼だと思わないの?」

「そうだ!そうだ!」


 マイクの前に立つとミサキは最初にそう言い放ったが、静かになるどころかむしろ罵声が飛び交い出した。


「はぁ、教諭も止めないあたり風紀は最悪ですわね──まぁ良いでしょう!貴方達進級組、いいえ!ただのエスカレーター式で上がっただけの方々へ一言だけ、私は貴方達より強い!序列を抜かれないように気をつける事ね」


 そう言うとミサキはブーイングを受けながらもステージを降りて行った。


(なんで先生たち止めないんだろ?)

「進級組を贔屓にでもしてるか、それとも煽らせる事で競争心に火でも付けてんじゃねぇのか?アイを見てみろよ」

(アイちゃんの方?)


 シンジがアイを見るとアイは握り拳を作りプルプルと震えていた。


「貴方達より強い──んなわけないじゃん!私の方が絶対ぜっっったい強い!」

「ほらな?」

(本当だ)

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