アーティファクト

第7話 聖騎士

「タクマ！」

（タクマって確か聖騎士の？）

「答えろ！何故貴様はその顔をしている！この偽者が！」

　タクマは指をパチンッ！と鳴らすと突風がシンジを襲う！

　そして突風が止みシンジは頰に違和感を感じ手を当てると手に血がついていた。

（タクマ（彼の）血？──ッ！）

　次の瞬間シンジに激痛が走った！攻撃された痛みではない、傷口を触った時のような痛みだ！

（これはボクの血か！？と言うことは彼の能力は）

「タクマやめて！相手はシンジだよ！？」

「シンジか──アイ！良い加減にしろ、シンジは死んだ、もう居ないんだ！こんな偽者に騙されやがって」

　タクマは先ほどのようにシンジの方へ指を構える。

（来る！）

　パチンッと鳴らすと即座にシンジは黒い色をした剣で斬り払う

　斬り払うとシンジはタクマの方へ走った！

「観察眼と度胸だけは似てるみたいだな」

　そう言い放つとタクマはハートリガーを起動した。

（双剣か、めんどくさいな）

　シンジは飛び掛かりタクマに斬りかかるとタクマは双方の剣を使い受け止めた。

「いつ分かった？俺の能力に」

「この傷だよ、触れてもないのに傷ができるとなるとあの風はかまいたち並の風が起こってる、それを発生させるならあの指パッチンかなと思ってね！」

「そこも、か」

　タクマはシンジの剣を払い、シンジが隙を作るとシンジを思いっきり蹴飛ばし握っていた片方の剣をシンジに向けた。

「コレで終わりだが、その前に」

　そう言った瞬間タクマは少し横に移動するとギシンが先ほどまでタクマの居た場所から突きの姿勢をしたまま飛び出てくる

「何！？」

「分かってんだよ、もう1人の攻撃くらい」

　タクマはギシンの背中を蹴るとシンジの方へ吹っ飛ぶ！

（あの手を使うしかない！）

　シンジは左手でギシンの右手を掴むとギシンの体は消えて一つになる。

（ギシン行くよ！）

「やはりお前はシンジ（あいつ）とは違う、これで終わりだ」

　タクマが剣を振り下ろすその瞬間、シンジの体はその場から消えた。

「どこに行った！」

「ヒャァハッハッ！！」

「横か！」

　タクマが声のする方を見ると反り返ったギシンが立って居た。

「オラァ！」

　ギシン達の剣はタクマめがけて振り降ろされるがタクマは双剣を使い受け止める！

「チッ！」

　ギシンは舌打ちすると一瞬でタクマの背後に回り斬りかかる！

　タクマに攻撃が当たる寸前、タクマの指がギシンの目の前にくると同時に周囲が元の形に戻っていった。

「そこまでよ、これ以上はここが壊れるわ」

「カトル何故止めた？」

　タクマは手を降ろすと受付にいたカトルと呼ばれる男性を睨みそういった。

「言ったはずよ、これ以上はここが壊れるってね」

「フン！お前名は？」

「あぁ？シンジだ」

「そうじゃない、今（お前）の名前を聞いてるんだ」

「もしかしてタクマ君ボクたちのこと感づいた？」

「それじゃ偽者のシンジってことで、偽（ギ）シンとでも名乗っておくか」

「ギシン──か憶えておこう、この決着は絶対に着ける、それまで負けるなよ？」

「お前もな」

　その言葉を聞くとタクマはフッと笑い出て行った。

（タクマか！変な奴だったな！）

「うん、でも悪い人ってわけじゃないよね？攻撃してきたのもアイちゃんがやられてる姿を見て来たんだもん」

（みたいだな──っと、そろそろ変わっておくか）

「シンジ、ごめんねタクマってちょっと固いとこあるから」

　奥の方からアイがシンジの方へ走り寄りそう言った。

「ううん、良いんだ」

（流石に死人扱いは結構堪えるけど）

「でもちょっと見直しちゃった、タクマもだけどシンジも強くなったんだね」

「ありがとう──ねぇアイちゃん、団員ってなんの事？」

「団員？そういえば言ってなかったね！昨日この子見せたでしょ？」

　そう言いアイは星型のペンダントを見せる。

「確か前にボクがあげたペンダント──だったよね？」

「うん！この子は前にシンジが作った団、ファイブスター団に所属する団員の証みたいな感じでなんだ！」

（ファイブスター団）

「5個の星か」

「そういえばシンジ、このペンダントどこにやったの？」

（多分、焼かれたかあの基地に有るんだろうな、問い合わせてみるか）

「見た事ないって言ってたし多分無くしたんだよね」

「みたいだね、ごめん」

「ううん、良いよ！気にしてないし」

「2人共！お取り込み中悪いんだけど良いかしら？」

　シンジ達が話しているとカトルが割って入ってきた。

「どうしたんですか？」

「さっきの君たちの動き、只者じゃなかったわね？何かこの国（ここ）に来る前何かしてたのかしら？」

「私とシンジは小さい頃タクマの道場に通ってたんだよ」

（タクマの道場？）

「ふーん、でも太刀筋や武器なんかも全然違うのね」

「うん！道場と言っても全員で玩具とか使って模擬練やるだけだったから流派とかは無いんだけどね、あっ！タクマとヒヨだけはちゃんとした流派だよ？確か家元だし」

「そうなの、ありがとう参考にしとくわ」

「あっ！もしかして私タクマ達を不利にしちゃった？」

「安心して悪用する気はないから♪」

　カトルは笑顔でそう答える。

「ねぇシンジ！もう一戦お願いしてもいい？」

「もう一戦？別に良いよ？」

（アイちゃんって意外と負けず嫌いなんだね）

「みたいだな」