第6話 模擬戦
翌日、シンジとアイはマッシブアイランドと書かれた建物の前に来ていた。
「ナニココ」
「マッシブアイランド!この国1番のトレーニングジムだよ!!」
(いや、それは見ればなんとなく分かるんだけど!なんで外にこんなゴリッゴリの筋肉した人の像が立ってるんだよ!?)
「さっ!中に入ろ!」
「えっ!?ちょ!」
シンジはアイに腕を引っ張られ半ば強引にトレーニングジムの中へと入っていった。
マッシブアイランドの中は広く、筋力を鍛える場所やリングが存在しており、スポーツジムと言うよりはボクシングジムに近い形をしている。
「あら、いらっしゃい!マッシブアイランドへようこそ!」
中に入ると受付カウンターから中性的な男性が声をかけてきた。
「こんにちは!えーっと、ここの使用2時間お願いします!」
「はいはい、分かったわ!それじゃ2時間でお一人様850ゾルね──ってあら?そちらの彼女!もしかして名前はアイちゃんって名前だったりする?」
「そうですけど、どうして私の名前を?」
「ここの常連さん、私の友達なの、その子が君のことを話してた時があってね、君の容姿と話してた内容が一致してたからもしかして──って思っちゃって」
「常連さん?」
「えぇ!タクマって名前だけど、知ってるわよね?」
アイは首を傾げそう聞くと男性は笑顔で答えた。
「タクマ!?ここに来てるの!?」
「いいえ、今日はまだね」
その言葉を聞くとアイはがっくしと肩を落とす。
「最近はお昼から来てるのよ、彼もガーディアンの高等部に入るから色々忙しいみたいね」
「そっか〜なら後で来るかもだね!シンジ!まずは実戦からやろ?」
「実戦?でもボク今日はハートリガー持って来てないよ?」
ハートリガーとは旧人類が新人類の覚醒能力に対抗するために作られた武器の事である。
形状は様々で指の当たる場所にスイッチが付いた物で、スイッチを押すと押した者の心に反応して形状が変わる。また、押した後の形状は使用者によって異なる。
「大丈夫よ!ここではハートリガーはレンタルするようにしてるの」
そう言うと受付の男性はハートリガーを受付台の下から取り出すとシンジとアイに渡した。
「あれ?なんで私にも?」
「ここのリングは特別でAR映像を使うことで戦闘が行えるの」
「AR映像?どうしてそんなことしたの?」
「それは安全面の強化ね、この学園都市では怪我の治癒に時間はかから無いけど怪我なんてしたくないでしょ?」
「でもそれじゃ当たりはしても実戦訓練にはならないんじゃないか?質量が無い分動きも違うだろうし」
「最新技術を甘く見ないことね、このARハートリガー、当たるとかすり傷程度だけど傷が付くようにしてるの」
「どうやってそんなことしてるんです!?」
「それは企業秘密よ♡」
そう言い受付の男性はウインクをした。
(うわぁ、なんか凄く見たくないもの見せられた)
「同感だな!──それにしても当たると電撃が走るフィールドか、コレはやる価値ありって感じだな」
(気になる?)
「そりゃな!傷は余計だがこりゃ良いもんだぜ!」
シンジは棒状のハートリガーを受け取りリングに上がるとリングの形が変形し始め、面積が2倍ほどの大きさになり、壁が現れると壁にビルの映像が投影された。
「アイちゃん!やるからには本気だよ!」
「もちろん!手加減なんていらないからね!」
アイは棒状ハートリガーを起動すると鎌に変形し、鎌を強く握るとシンジの方へと走って行く。
「何だよ!アイツ結構早いじゃねぇか!シンジ!油断すんなよ!」
鎌を振り下ろすとシンジは横転をして避ける。
(油断するわけないでしょっ!)
シンジはハートリガーを起動すると白と黒の色をした剣に変形し、その剣でアイを斬ろうと横に振るとアイは体を逸らして避ける!
そして逸らした勢いそのままにバク転をし、そのついでにシンジを蹴り上げると蹴り上げられたシンジは背後に転がり受け身をして立ち上がった!
「ヒュー!やるねぇ!ならこっちも"アレ"やるかァ!」
(ううん、ボクはアイちゃんの能力がわからないんだ分かるまでは)
「シンジ?腕鈍った?前はこの程度じゃなかったよねっ!」
アイは鎌をバトンのように回しながらそう言うとシンジに向かって鎌を投げる。
(投げた!?)
シンジは咄嗟の事反応が遅れたが体制を低くする事で鎌を避けたが次の瞬間シンジの体に電撃が走る!
シンジは膝をつくとアイを見て驚愕した。
先ほどまでシンジの方が近いはずの鎌をアイは握っていたからだ。
「なっ!?」
「ふふーん♪記憶喪失が仇となってるね!シーンジ!」
(どうしてだ?どうしてアイちゃんは唐突にボクの背後に?それにボクは完全に避けたはずなぜダメージを受けたんだろ?)
「これで終わり!」
(くっ!反発分身!)
アイが鎌を振り下ろすもシンジ達は弾かれるように左右へ吹っ飛びながら分身した。
「やっと出番かァ!」
「行くよ!」
「おう!」
シンジとギシンはそれぞれアイに向かって走り出し、アイを挟み込むと同時にアイを斬りかかるとアイは鎌を上に投げると次の瞬間アイは粒子状になり消えた!
「なっ!?」
「消えた!」
「こっちだよ!こっち!」
シンジ達は上を向くとアイが回転しながらこちらへ降りてくる。
「瞬間移動──いや、ハートリガーの位置にワープって感じか」
「冷静に分析してる場合じゃねぇだろうが!」
ギシンはジャンプし、アイの鎌を自身の白い剣で受け止めるとシンジはアイに追撃をしようとアイの上まで跳ぶ
「しまっ!」
アイにかかと落としをするとアイとギシンは地面に叩きつけられる。
「ふぅ、何とか成功したね!囮作戦!」
シンジは着地するとアイの下敷きになっているギシンにサムズアップをする。
「ねぇよ!そんな作戦!テメェなに勝手に巻き込んでんだァ!」
「痛ってて──シンジ、ちょっとは手加減してよ〜!」
「手加減はいらないって言ったのアイちゃんでしょ?」
「う〜、そうだけどぉ」
「乱入プレイヤーあり!注意されたし!」
警報音と共にアナウンスがフィールド上に鳴り響いた。
「乱入プレイヤー?」
シンジがそう言った次の瞬間突風がシンジを襲った!
「なっ!?なにこの風!?」
シンジは突風を受け少し飛ばされまいと膝をつくと同時に風の影響で目が乾燥し少し目を閉じた。
そして目を開けると目の前には青髪のシンジより背の高い少年が立っていた。
「貴様、俺の──俺の預かっている大切な団員に何してくれてんだ?」
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