第2話 再会

 シンジは辺り一面を見渡し、安全確認を済ますと大通りに出る


(寮は確か、こっちだったよね)

「あぁ、そうだぜ?それにしてもよ!この辺は平和だよな!」

(確かにそうだね、研究所とかはピリピリしてたしボクらもこんな環境ならあんな事になっては無かったと思う)

「過ぎたことを悔いても仕方ないってやつだ、まぁ、あの試験は意外と好きだったがなぁ!」

(これだから戦闘狂バーサーカーは)

「何だよ?文句あっか?」

(ううん、別に──でもあの試験は流石に命の危機って感じがしたよ)

「そりゃそうだ、だってここに投入する奴を厳選する試験なんだからな、だからと言って落ちた奴らを廃棄処分にするのはどうかと思うが」

(彼らも必死だったんだよ、だからこそ何としても生き残る、あの子達の分もね──でしょ?)

「そうだな──っと、ここが寮か?」

「みたいだね、よし!」





「ねぇ!もしかして〜君の名前ってシンジ?」


 シンジは寮のドアに手を伸ばすと制服を着た女子生徒から声をかけられる


(誰だろ?)

「なんだ?名前を知ってるからシンジの友人とかじゃないのか?」

(ギシン忘れたの?ボクはギシンと会う前の記憶は名前のこと以外は無いんだよ?)

「だから記憶が無くなる前、シンジが研究所あの場に拉致られる前のってこったよ!」




「えっと──君は?」

「え〜この天才美少女幼馴染、アイちゃんのこと忘れたの?」




(アイちゃん──やっぱり聞いたことのない名前


「天才美少女──ごめん、心当たりないから人違いじゃない?」

「そんな事ないよ〜だってほら!この子が君のこと指してるもん!」


 そう言いながらアイは右手につけている赤い星型の首飾りを見せる。


「この子って?」

「はぁ〜本当に忘れたんだ──この子はシンジとタクマがくれた宝物だよ!」



(ボクがこれを──ねぇ)


 シンジが星型の首飾りを見つめると少し赤く光った気がした。


「やっぱりシンジだ!今光ったもん!」


「そうか、でもごめんね!君のことは本当に憶えてないんだ」

「そんな──嘘だよ!だって約束したもん!6年前のあの日5人で一緒に円卓を目指そうって!」


(円卓、確かリバティ・サン王国の護衛部隊最上級の称号だよね、そんな高みを目指す約束?6年前なら10歳か、確かにその年齢くらいなら夢を語り合うことくらいはあるかもしれない、でも──いや、ここは正直に記憶喪失を起こしたって言った方がいいかよね?)


「どうだろうな?疑ってるわけじゃないがこいつ本当に信用できるか?」

(それは──そうだけど、でも!少なくとも敵ではないことは分かる)

「なら好きにしな!だがよ、責任はお前が取れよ?」


「あの!ボク、その記憶喪失を起こしたんだ!」


「そんなの信じられるわけないじゃん──シンジのバカァ!」


 アイは涙を流しながら街中の方へ走っていった。


「あーあ、泣かした」

(そうだよね、6年ぶりに再会したと思ったら否定されてその後に記憶喪失なんて言われたらショックすぎて正直ボクでも耐えれないと思う)

「どうする?放置でもするか?」

(ううん、あの子を追いかける、こうなったのもボクの所為だし)

「それでこそシンジだ、行こうぜ!」


 シンジもアイを追いかける為街中へ走っていった。

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