おそるべきこどもたち

おそるべきこどもたち

著者:青瓢箪様

作品url(https://kakuyomu.jp/works/1177354054884897215


 南国というのは、実に心が躍るモチーフです。「南の島」といえばたいていの人が楽園じみた生活を想像するでしょう。

 つまり南国とは、非日常なのです。

 そしてに非日常ならば、そこで起こる怪異もまた、”非日常的な怪異”であるべきでしょう。確か、アジアの怪異を編んだ短編集があったはずです。あれは実にエキゾチックで美しかった……などと思い出話をしている場合ではありません。過去のそれではなく、いま目の前にある作品を愛でなければ。


 最初のページは、舞台になる島の伝承や信仰について語られています。設定の説明と言えばそれまでですが、こういうの結構大事ですよ。そして私は、こういう説明読むのが大好きです。


 本格的にストーリーが動き出すのは、次の話から。

 外国人の親戚の家に「旅行」の名目で預けられて、暇を持て余している少年が主人公です。親戚とは言えど、他人の家に泊まるのって窮屈ですよね。よほど気心の知れた間柄なら違うのかもしれませんが……。

 泊まり先のおばさんからアドバイスを受けて、教会の子どもたちと交流をしに行くそこまでは、「ほほえましい」と言って差し支えないくらいでしょう。


 教会にだべっているのは、主人公が「不良の見本」と表現するくらいに、多彩な髪の色の少年少女たち。ラノベや漫画で極端な髪色のキャラクターは決して珍しくはありませんが、現実にいたら「親は何やってるんだ」と言いたくなるような容姿の子ばかりです。


 しかし、単なる不良ッ子の遊びと侮るなかれ。

 タイトルの通り「恐るべき子供たち」である彼ら彼女らは、「まともな子供」である主人公の度肝を抜く残虐非道な遊びをいくつもやって見せます。


 いったいどんな遊びかは、実際に作品を読んでご賞味いただきたく。

 どれも素敵な「遊び」です。


 ただし、「ホラー者にとっては」という注意書きが必要かもしれませんが。 

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