最終日

7-1【これであたい達は生き残れる】

 ☆???

「もう終わりかぁ……」

「なかなか早いものだな。ガンナー、好きだったのだけど」

「俺はキャスターかな。あの小さな体に愛情を注ぎたいものだ……」

「我々はランサーさんですかね」

「っなぁ!?デ、ディレクター!?な、なぜこんなところに……」

「いえ、我々ももっと間近で見て見たいと思いまして……いや、しかし……やはり」

「…………?」

「思ったより、あの子は主役を張れますね……ふふ」



 ☆ランサー


 大きな揺れによって眼を覚ます。いつの間にか眠っていたのだろうか、近くにいたバーグラーも同じように眼を覚ましたようだ。


 フェンサーを殺した後、戦い疲れて眠ってしまった。なので、誰かが襲いにきたのかもしれない。


「バーグラー!あ、あそこ!!」


 バーグラーの名前を呼び、扉の方に眼を向ける。そこから、怪物が何体ものこちらに視線を向けていた。


 更に、どこか生気のない雰囲気は、あの時襲ってきた怪物達……そう、キャスターと共にいたあの怪物と一緒だった。


 蘇るあの時の記憶。されどランサーはもうあの時を引きずることはない。バーグラーの方を見ると、彼女はコクリと頷いていた。


「おそらく、人海戦術を使う気でしょう。どうします?」

「簡単さ!今日を生き残れば、これであたい達は生き残れる……だから、逃げるよ!」


 ランサーはそう叫んで、窓から身を乗り出す。そして、上空に向けて槍を伸ばした。それを掴み、バーグラーもランサーの足を握る。


 限界まで伸ばしたところで、槍は縮む。それに引っ張られるように、ランカー達も上に運ばれていった。


 軽い足取りで、二人は屋上に立つ。まだ空には満月が輝いていて、二人を照らしていた。


「ここまで怪物がすぐに来ることはないよ」

「もしきても入り口は一つ……ですから、そこから迎え撃てば」

「耐えよう……今日を乗り越えれば、あたい達は前に進める!」


 そう言った瞬間に、屋上に入れることができる扉が壊されて、怪物達がなだれ込んできた。


 ランサーは槍を構え。そして、バーグラーはナイフを構える。敵の数は多いが、二人でいけば戦える。そんな気がしていたのだった。



 ◇◇◇◇◇



 ☆キャスター


 少女の鼻歌が、城内に響く。その少女はぽてぽてと、可愛らしい足音を鳴らしながら、歩いていた。


 あたりには、たくさんの怪物の死体が転がっていた。それはキャスターが殺した後、もう一度殺しただけであり、深い意味はその死体には、ない。


「ねぇ、ガンナーお姉ちゃん。聞こえる?」

「…………」

「うん……まぁいいや。みぃちゃんね、きめたんだ願い」


 そう言って彼女は天井にピースサインを作る。ガンナーの視線はそこに向けられてないが、それでも構わなかった。


「ひとーつ!まずみぃちゃんの国を作る!パパとママに会いたいしね。それにもう一つ。ガンナーお姉ちゃんを生き返らせる。そのために、あの二人のどちらかと同盟を組もうと思うんだ。ねね?いい考えだよね?ね!」


 それでもガンナーは答えない。しかし、それでよかった。彼女がそこにいるだけで、幸せなのだから。


「どうやら……二人は屋上に向かったみたい。両方生きてるといいね、ガンナーお姉ちゃん!!」


 そう言ってキャスターは走り出した。後ろから追いかけるガンナーは、絶えずペースを崩さずに、動いていたのだった。

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