5-8【見なくていいわ見て欲しくないもの】
☆キャスター
みぃちゃんは昔から、愛情を注いでもらったし、その証もつけてくれたパパとママが大好き。
痛い時もあった。あんなのはいらないって思った時もあった。けど、これが愛情なんだって教えてくれたから、みぃちゃんは頑張れたんだ。
だんだんと慣れてきた。痛くもなくなって逆に気持ちよくなってきた。だからこれは愛情なんだよって、パパは教えてくれた。
ママからは体にハートの形に熱いものをつけてくれた。とっても痛くて泣いちゃったけど、これも愛情なんだって教えてくれた。
周りの人には見せちゃダメだよって言われた。こんな素敵なマークなのに、なんで見せれないんだろう。プールもダメだって言われた。
たまに、パパやママ以外の人にも愛情をたくさん与えてもらったんだ。その度にパパとママもとっても嬉しそうな顔してて……みぃちゃん、とっても嬉しかった!
でもそんなパパとママも警察に連れていかれ、みぃちゃんだけが残されたんだ。意味がわからないよ。周りの人は辛かったなとか、もう大丈夫っていうけど。
みぃちゃんは今辛いし、今すでに大丈夫じゃないの!!
そんな時、この願いが叶うって戦いに参加しませんか?ってお誘いがきて、嬉しかったの!願いが叶うなら、みぃちゃんが受けた愛情がちゃんとほうりつ?で守られている国を作れば解決するから。
国をつくるなら国民がある。そしてそんな国民にもたくさん会えた!黒い怪物さん達にフェンサーお姉ちゃんに、テラーお姉ちゃん。そして、ガンナーお姉ちゃん。
ガンナーお姉ちゃんは一番大好き!優しいし、美人でまるでママみたい!それに強くてカッコよくてかパパにも似てる!だからみぃちゃんは愛情を与えようって思ったのに……
なんで断られたんだろ?私なりに愛したいってよくわからないこと言うし……
愛してるのに。こんなに、こんなに。でもなんでダメなんだろ。わからない。わからないなぁ……
ガンナーお姉ちゃんなりの愛し方。みぃちゃん、少し気になる。早く教えてくれないかなぁ。そして、さ!いつかはみぃちゃんの国民になってもらおっと!
きっとこれなら文句変わらないよね?だから、ずっと一緒にいようね、ガンナーお姉ちゃん。
◇◇◇◇◇
☆ブレイカー
歩く。釘バッドをカラカラと引きずりながら、目的の場所まで、ゆっくりと。一歩ずつ、一歩ずつ。
そして、見つけた。ブレイカーは腰を低くして、その目的のものを担ぎあげる。目と目が合い、ブレイカーは小さく舌打ちをする。
「久しぶりねアーチャー」
アーチャーの頭は答えない。もう乾いたのか、首から何も流れてなくて、その部分をゆっくりと撫でてみるが、反応はなかった。
ブレイカーはそれを抱えながら歩き出す。ゆっくりと歩き、小さな池の前に着いた。そこに腰をかけて、空を見上げる。
「何勝手に死んでんのよふざけてんの?待ってるって言ったのに来ないなんて約束を破らないでよこれじゃ話も反故よ反故」
それでもアーチャーは答えない。答えるわけがないってわかるのに、少しだけ待っている自分がいた。
「あんたそういえば喋ったことあるのかしらもしかして私に言ったいただきますだけだったりするのもっと喋った方がいいと思うはわ声は可愛いんだから」
それでもアーチャーは答えない。ブレイカーは立ち上がり胸に抱えたアーチャーの頭を強く抱きしめた。
「ほんと……ほんとあんたはもう……!!」
アーチャー。ヒーラー。二人の大事な友人を失ったブレイカー。深く息を吸い、そして吐く。池の水面の上にぽちゃりと何か液体が落ちたような気がした。
「……ヒーラー。それに、アーチャー……私は、やり遂げるわ。だからって見てなさいって言わない。見なくていいわ見て欲しくないもの……そういうわけで、ここでさよならね」
そう言い、薬が入っていた瓶に水と石を入れて重くしたのちに、アーチャーの頭にくくりつける。
それを池に放り投げると、大きな音がし、水面を揺らして池の底にそれは沈んでいく。ブレイカーはじっと沈んでいくものを見ながら、息を吐く。
ブレイカーはその場を後にする。広がっていく波は、だんだんと消えていく。代わりに、先程まで乾いていた周りの地面は、少しだけ濡れていたのだった。
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