5-2【それが貴方の選択なのね】
☆???
めのまえになにかいるのだ
なんだかわたしにこえをかけてるきがするのだ
あぁでもいまはかまってるひまはないのだ
きゃすたーのためにもはやくうごかないといけないのだ
でもじゃまするなら
しかたないのだ
◇◇◇◇◇
☆ランサー
ダンッ。目の前にいたフェンサーのようなものは突然走り出した。ランサーとバーグラーはお互いの武器を構えて向かい受け入れようとした。
しかし、フェンサーの顔を直視した瞬間、二人はその場から飛び退いた。それは、あまりにも見てはいられない顔だからだ。
ランサーは右に、バーグラーは左に飛ぶが、フェンサーは突然立ち止まり、乱暴にレイピアを振り回す。
それはバーグラーの肌を切りつけて、あたりに鮮血を飛ばす。ランサーは慌ててそちらの方に駆け出そうとしたが、それより早くフェンサーはランサーに向かってきた。
フェンサーはランサーの心臓に向かって一突きを繰り出した。迷いのない攻撃で、そうかとランサーは納得する。体をずらし、致命傷は避けるが彼女の体に刺突の跡ができる。
ふらつく体。しかし、すぐに態勢を立て直してフェンサーに槍をぶつける。横払いであり、それは彼女を叩き飛ばした。
「大丈夫かいバーグラー!」
「え、えぇ……勿論、です。それより、ランサーさんは……」
「舐めるんじゃないって!これくらい、つばつければなおる!問題は、あっちだね」
ランサーの視線は先ほど飛ばされたフェンサーの姿があった。ふらふらとしているが、ゆっくりとこちらに歩いてくるのは見て取れた。
死んだと思っていたフェンサーに会えて、二人は一瞬だけ喜んだ。しかしあれはただのゾンビだ。雰囲気は、あの時襲われたキャスターと共にいた怪物のようだ。
「考えるに……キャスターの能力じゃないでしょうか?殺した相手をゾンビにする」
「……認めたくないけど、そうだろね……でも、そしたらどうするのさ?」
「なんとか隙を見つけて逃げましょう」
二人で意見をまとめた瞬間、フェンサーはまた駆け出してきた。それに対しランサーは前に、バーグラーは後ろに下がる。
ランサーは槍を下につけ、そして力を込めるとその槍がギュンッ!と伸びる。まるで高跳びのように彼女は飛んで、フェンサーの後ろに立つ。
それを見たバーグラーはフェンサーに向かって駆け出した。突然のことで少し動きが止まっていたのが、幸いした。バーグラーのナイフはフェンサーの肌を切り裂いた、
そこから飛び出るのは血ではなく虫の潰れたような音。バーグラーは目をそらし、そしてそのまま走り出す。
「逃げますよ!」
バーグラーに手を引かれてランサーは走りだした。後ろをちらりと見ると、フェンサーがこちらの方を少しだけ見ていたが、すぐに真反対の方に歩きだしていたのだった。
◇◇◇◇◇
☆ブレイカー
「さて」
ブレイカーは釘バットを見ながら、ポツリと呟く。後ろにいるアーチャーを見る。彼女は弓を持ちながら、虚ろな目で外を見つめていた。
セイバーの事実を受け入れているのかわからない。だが、どちらにせよ彼女にはどちらか決断してもらわなければならないのだ。
戦うか
戦わないか
どちらか一つ。もし戦わないを選択しても、ブレイカーは彼女を責める気はない。むしろ戦うを選ぶ方が驚く。
とにかくどちらに転んでも彼女の意見を尊重すると決めている。もう一度ちらりと彼女を見ると、アーチャーと今度は目があった。
「……どうするのあなたは私はあなたの考えを否定しないし賛同もしないただただ歩いて行くだけよそれじゃあねアーチャー」
そういってブレイカーは歩き出す。足音は一つ。まぁそうだろうなとブレイカーは空を見て思う。
一刻も早くセイバーを見つけないと。そう思って角を曲がる。倒す方法は、一つだけある。それができるかは、わからないのだが。
しばらく歩き、ブレイカーは突然歩くのをやめる。そして深く息を吸ったあと、もう一度前に歩きだした。
「それが貴方の選択なのね」
足音は、一つ増えていた。
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