5日目

5-1【わかってますけど違うんです!】

 ☆???

「なぁ、今何日目だっけ」

「ええと…5日目だね」

「今日までで死んだ魔法少女は?」

「……五人だね」

「もひとつ質問いいかな——

——このペースだと最終日には何人生き残ってる?」

「……君のような勘のいいガキは嫌いだよ」

「でもヤベェよなマジで」

「あぁ。盛り上がりにかけるんだよなぁ」

「「はぁ〜〜」」



 ◇◇◇◇◇

 ☆バーグラー


 目を覚ました。カーテンをゆっくり開けて外を見ると、明るい日差しが目を突き抜けて行く。今日もまた、新しい日が始まるのか。


 寝る前、あたりで大きな音が聞こえ続けていたため、ランサーを守るように立ちながら、ナイフを構えていたのだがどうやら眠気には勝てなかったらしい。


 後ろを見るとランサーはまだ眠っている。彼女が元気なら、とりあえず安心できる。飴の貯蔵はそこそこあるので、ここでしばらく隠れておこう。


 まるであの日の籠城のようだな。バーグラーはそう思い浮かべて、少しだけ笑う。あの時は短かったが、楽しかった。そう思う。


 何か目新しいものはないかと思い外を見る。その時彼女の視線に一つの少女が入って来て、思わずバーグラーは二度見する。


 そこにいたのは、本来いてはいけない存在。それを見た瞬間、バーグラーは家から飛び出していた。



 ◇◇◇◇◇


 ☆ランサー


「う、うぅん……あれ、バーグラー?」


 ランサーはゆっくりと辺りを見渡してバーグラーを探す。どこかに行ったのだろうか。自分を置いて?


 まさか。と思うが、ふと見ると紙が一枚置いてあった。そこには外に出かけると走り書きで書いてあった。


 ここでなら待つべきなのだろう。しかし、もしものことを考え、ランサーは外を見る。静かで、今なら大丈夫なのかもしれない。


 置いてある槍を持ち、念のためバーグラーが残した紙の下に一言書いて、外に出る。この街に来てから、おそらく初めての外出だ。


 改めて見ると、ランサーが住んでいた街とあまり変わらないように見える。家があり、そして太陽も輝いている。無いのは人の気配だけか。


 奇妙な感覚。そしてくる孤独感。早い所バーグラーを探そうと思い歩き出しはじめるが、もし誰かに襲われていたら……そう考えると、自然に足が速くなる。


 戦えるかわからないが、やるだけやらなければ。そう思い、槍を握る手に力を込める。そして、さらに歩く速度を上げて行く。


「——!!——!」

「この声……バーグラーかい?」


 バーグラーの声が聞こえて来て少しだけ安心する。しかし言い争ってるようにも聞こえるため、その声がする方に走って行く。


 しばらく行くとバーグラーの姿を見つけた。ランサーは慌てて駆け寄ろうとしたが、その時人影がバーグラー含め二つもあったため、一瞬足が止まる。


 しかし、そこにいた人影と目が合い、ランサーは「は?」と間が抜けた声が出た。その声を聞いて、バーグラーがナイフを構えて人影と対峙する。


「ちょっ!?バーグラー何やってるんだい!その魔法少女は——」

「わかってます!わかってますけど違うんです!あれは、あの人じゃないなんです!」


 そしてバーグラーが指差したその先には、ボロボロの軍服に身を包み、身体中に蛆虫が這いずり回っている魔法少女。


 目玉も片方なく、だらしなく口を開けている。ふらふらと体を揺らすが、確実に彼女は、こちらを見ている。手にした得物はキラリと光り、とても綺麗に見えた。


「う、ああぁう……」


 地獄のようなうめき声をあげる

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