4-9【ふふ、フフフフフフ!!!アハハハハハハ!!!フフフフ!!!】
☆ブレイカー
隣で考えこむアーチャーの姿を見て、ブレイカーは自分の気遣いのなさを呪う。もう少しタイミングというものがあっただろうに。
アーチャーに語ったのは、一言で言えばセイバーについての考察。いや、ほとんど真実だろう。
ブレイカーにとってそれは確定とも言えるし——何より証拠もある。故にこれは真実。アーチャーが信じようが信じまいが、これは揺るぎないことなのだ。
しかし、アーチャーには少し重すぎた真実だった。アーチャーはセイバーのことは好きだったようだし、何よりこの言葉のおかげで、アーチャーはセイバーのことを疑わざるを得なくなる。
喋れないところから見て、まだ幼いのだろう。食事を見つけてそこに飛び込んだのもその考えを手助けしている。恐らくは、5.6歳か。
こんな年端もいかない子供をここに呼ぶなんて……ブレイカーはこのゲームを開いた主催者を怒りをぶつけようとした。しかし、それは思いとどまる。
あくまで主催者はこの場を用意しただけで、この戦いは自主参加なのである。
「はぁ……」
ブレイカーはため息をついて、今いる場所から出て行こうとする。動かないと始まらないのだから。しかし、そんな彼女の邪魔する存在がいた。
アーチャーである。彼女が、ブレイカーの服の裾を引っ張っていて、動かさまいとしていた。その手とアーチャーの顔を交互に見て、ブレイカーは呟く。
「一緒に来たいの?」
ブレイカーの言葉に、アーチャーは遠慮勝ちな頷く。彼女はまだ子供だ。一人では何かと心細いのだろう。
ブレイカーはあくまで仕方ないと言いたげに彼女の手を引っ張った。しかし、アーチャーを握る手は、いつも以上に力が入っていたのだった。
◇◇◇◇◇
☆ガンナー
パパァと呟き、また眠ってしまったガンナーはとりあえずホテルに置いたままにし、ガンナーはブラブラと道を歩いていた。
目的はある。キャスターに殺させる人物の捜索だ。しかし、もう4日目になる。そう簡単に他人の前に来るようなものがいるとは思えない。
やけに静かなのも気になる。何か騒ぎが起きないのかと思っていた矢先、一つの影に出くわした。
ユラユラと体を揺らしながら街を歩く少女。名前等はわからないが何か武器のようなものを持っていないため、ファイターだろうと考える。
見た目的に意気消沈といったところか。これならキャスターに殺させやすいだろうと思った時、ファイターがこちらを向く。
(——!?)
ガンナーはファイターと目線が合う前に銃を構えた。それほどまでに、彼女から発せられる殺意は恐ろしいものがあったのだ。
仕事のために人を殺すと、その都度反抗して来るものも当然いる。ガンナーにとって、そんなものはあまり意味がなく恐ろしくもない。なんせ素人の足掻きだからだ。
しかし、素人でも恐ろしいものはある。それは例えば……追い詰められて、そして何をすればいいかわからなくなり……最終的に。
「ふふ、フフフフフフ!!!アハハハハハハ!!!フフフフ!!!」
「狂ったように笑い出す……だよねぇ?」
こうなると人間、何をするかわからない。そのため、未知の恐怖へと、その人間は早変わりするのだ。
あぁ、くそ。ガンナーは己の不運を呪いつつ、突然走り出したファイターを見据える。さて、この狂人と戦って生き残れるかねぇ?そんなことを考えつつ、ガンナーは弾丸を放ったのだった。
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