4-5【少しお茶でもしないか?】

 ☆サモナー


 目が覚めてから彼女は、いつの間にか起きて居たテラーと共に歩き始めた。目的はただ一つで、一人でも多く殺すこと。


 もちろんテラーに止められたが、未来本の効力がきちんと作動してるということはテラーにももちろんサモナーにも理解できることであった。


 故に隠れてても意味がない。もしかしたら、心臓麻痺で突然死ぬかもしれないのだ。ならば、今動く方がいい。


 目的は誰でもいいが、可能ならファイター。強くなった彼女が痛めつけられてるのを見て悦に浸りたかったが、現状だとそんな贅沢は言えない。


「見つかりますかね……」

「大丈夫さね。私たちにはがある」


 そう言って彼女は周りに浮かぶカメラのようなものを指差した。これはモニターのスキルであり、索敵だけだと考えたら、充分に効果を発揮してくれる。


 サモナー自身の戦闘力は一対一でギリギリ怪物に勝てるくらい。しかし、彼女なら秘策がある。


 それはフェンサーのスキル。背水の陣と呼ばれるそれは逃げることができなくなる代わりに、戦闘力が何十倍にも跳ね上がるというもの。


 さらにヒーラーのスキルである救急バッグはテラーに渡してある。死にそうになれば、そこの薬で回復すればいい。そうサモナーは考える。


 楽観しすぎだというのはわかる。しかし、だからといって悲観しすぎるのもいかがなものかという気持ちもある。ならば、楽観した方がましだ。


 そう考えて居た時、突然足が止まる。そしてモニターのスキルだったものに意識を集中し、ゆっくりと口を開けた。


「お目当て発見さね」



 ◇◇◇◇◇


 ☆セイバー


 しまったなぁと彼女はとある民家のベッドの上でぼーっと思う。顔についている血をぬぐいつつ、今後どうするかを考える。


 ブレイカーに襲われたのは考えてなかったわけじゃなく、あり得ることだろうとは思っていた。しかし、あそこまでやられるとは思わなかった。


 すぎたことを考えても仕方ない。二、三度死んだ身としてはもう死ぬのはお断り願いたいものだ。


 ふと、人の気配を感じる。慎重に窓から見てみると、そこには二人組の魔法少女がいた。確か、サモナーとテラー。


 サモナーのスキルは知っている。だから、あの時は握手されないようにうまい言い訳を作ったと思う。


 さてどうするかと考える。サモナー達の考えは知っている。そろそろ動きだす頃だろうと思っていた。


 パンッ。自分の両頬を叩き、彼女は頭の中でどう動くのが最適かを計算する。何度考えても、答えは一つしか思いつかない。


 わざと聞こえるように窓を開ける。当然、サモナーとテラーはそこに視線が入っていくのだ。その視線にセイバーは体を滑り込ませる。


「君たち!無事だったんだなっ!少し、お茶でもしないか?」


 あくまで平和そうに。あくまで優しく。あくまで敵意のないように。


 セイバーの言葉を聞いて、サモナーは筆をまるでホームラン宣言するかのように突き出してくる。それを見たセイバーはすぐに焦った顔を出した。


 それと同時にサモナーがこちらに飛んでくる。さぁて。ここからどうするか。セイバーはそんなことを考えていたのだった。

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