4日目
4-1【まだこちら側にくるのは早いのだ】
☆???
「なんだかんだで4日目だってよ」
「意外に早いものだなぁ。さて、どんな感じだ?」
「……視聴率はそこそこ。といった感じか」
「かーっ!やっぱり現実は辛いなぁ!!」
「あぁ。そろそろ……でっかいのきてほしいものだ」
「全くだな。頑張れ魔法少女ー」
◇◇◇◇◇
☆ランサー
ランサーは道を歩いていた。辺りは暗く、しかし目の前だけは明るいため道に迷うことなく進むことができる。
何歩歩いただろう。その光の先には、二人の少女が立っていた。その少女を見て、ランサーは二人に駆け寄る。
「フェンサー!それにガードナーも……いきてたんだね!!」
ランサーはそういって二人を抱いた。涙を流す彼女を見て、二人は困ったような顔を見せている。
「ランサー。まだこちら側にくるのは早いのだ」
「そうですよ。貴方はまだ……まだ、生きないといけません」
何をいってるんだとランサーは問い詰めようと思った。しかし、その瞬間彼女の体は後ろに引っ張られる。
闇の中から腕がはえて、まるで体を掴まれたようだと感じた。あの中に行きたくない。ランサーは精一杯手を伸ばす。
しかし、その先にはまた光はなく。まだ闇が広がっていただけだった。そして彼女は察してしまった。
だからもう闇の中に引きずり込まれるのを拒むことはなかった。そのまま、川の流れのように——
◇◇◇◇◇
☆バーグラー
「ランサーさん!!ランサーさん!!」
嫌な予感がして駆け込んだ家の中。そこで彼女はランサーと再会した。けれど彼女の体は宙に浮かんでいた。
バーグラーは慌ててランサーを床に下ろす。とにかく衣類をぬがしたあと、心臓マッサージを始める。
早く目覚めろという思いをぶつけ続ける。スマホにメールは届いていないため、まだ希望はあるはずだ。
「けほっ」
「っ!!ランサーさん!!早く目を覚まして!!」
バーグラーの思いが通じたのか、ランサーは息を吹き返した。震える目でこちらを見た後、ゆっくりと起き上がった。
バーグラーはランサーの胸に飛び込んだ。そして、その胸の中で泣き始めた。
「ばかっ!!何勝手に死のうとしてるんですかっ!!」
「……あたい、死のうとしてたんだね……ははっ。あんたより年上なのに、無様だねぇ……」
ランサーは乾いた顔で笑う。その顔を見て、バーグラーは色々と言いたいことをまとめようとするが、なかなか言葉が出ない。
だから彼女の目をじっと見つめる。言葉は見つからない。しかし、彼女は口を動かすことができるのだから、言葉を探しながら口を開ける。
「ランサーさん」
「……はい」
「年上とか、年下とか関係ない……貴方は、私が、守り、ます。だから、勝手に……いかないでください」
「……わかったよ。それに、あたいはもう死ににいかないさ」
そう言ってランサーはバーグラーの頭を優しく撫でる。死ぬ気はないという思いは本当だ。進んでも戻っても闇しかない
しかし、後ろの闇からは、誰かが手を伸ばして私を抱き寄せてくれた。だから、残る。そう決めた。
そんなことはバーグラーは知らないし、ランサーもいうつもりはない。しばらくの間、この小さな家の中では一人の少女の泣き叫ぶ声が響いたのだった。
◇◇◇◇◇
☆ブレイカー
おかしい。
彼女はなんども、スマホの通知画面を見る。しかし何度見てもセイバーが死んだという通知はなかった。
まさか仕留め損なったのか?そうおもうが、あの連撃で死なないとは想像できない。しかし、死んでないということは、確からしい。
(あいつのせいで……ヒーラー達は死んだ……早く、早く殺さないと……)
ブレイカーはバットを握る力を強くする。そして、そのバットを地面に思い切り突き刺した。
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