3-7【両方しないといないってのが、私の辛いところだよねぇ?】

 ◇◇◇◇◇◇


【新エリアへようこそ】


 ◇◇◇◇◇◇


 ☆ガンナー


「へぇ……ここが新エリアかねぇ?」


 黒いコートをきたガンナーは辺りをキョロキョロと見ながら歩いている。新エリア。住宅街というように、辺りに家が建っておりどうやって作ったかわからないが本当に住宅街のようだ。


 先ほどチラリと見たが、怪物もいるらしい。森の中で何体か倒したため、飴には困ってない。なるべく会いたくないものだ。


 今会いたいのは、キャスター。彼女だけ。先程まで尾行していたが、どうやら新エリアに移るとワープするらしいく、見失ってしまった。


 彼女が倒されることはないと思うが、それでも彼女のポイントは一番高い。狙われやすい立場にあるといえよう。


 とにかく今は、安全地帯の確保が優先。いつでも逃げることができる場所があると、人間の心は落ち着くものだ。


「安全地帯の確保、キャスターの捜索……両方しないといないってのが、私の辛いところだよねぇ?」


 ガンナーはそう言って歩き出した。夕日のような物体が、あたりを明るく照らしていたのだった。



 ◇◇◇◇◇



 ☆バーグラー


 人工的に作られた、コンクリートの森の中をバーグラーは走り回っていた。まさか新しいエリアに行くと違うところに飛ばされるとは思ってもなかった。


 スマホで何度も連絡を入れたが、ランサーからの返事はない。死亡通知のようなものは届いてないため、まだ無事だとは思う。


 早く合流しないと。追い込まれているランサーが何をするか、バーグラーには想像つかない。自殺だけはやめてくれよと心の中で叫ぶ。


 三つ目の曲がり角を曲がった時、誰かにぶつかった。バーグラーは尻餅をついて倒れて、そして慌てて立ち上がりナイフを構える。


「……貴方は確か……」

「……ブレイカーよ。ブレイカー」


 首輪をつけた少女が忌々しいというように舌打ちをする。バーグラーはとりあえずキャスターやガンナーでないことにホッと息をついて、ナイフを構えながら、すり足をする。


「そんな怖い顔で睨まないでよ私はまだ何もしてないし貴方に興味なんてないから早くどっかに行きなさいシッシッ」

「……えっと、ランサーさん見ませんでしたか?」


 バーグラーの言葉を聞いてブレイカーは首を横に振る。その行動を見て、バーグラーは礼の言葉を述べて慌てて立ち去って行く。


 早くランサーに会わないといけない。その感情だけで今、彼女は動いていた。



 ◇◇◇◇◇


 ☆ブレイカー


 バーグラーの後ろ姿を見ながら、ブレイカーはそっと路地裏の方に体を滑らせて行く。


 カツン。足音を響かせながら、彼女は路地裏の奥の方まで歩いて行く。しばらく行くと、行き止まりに着くが、そこに赤い液体が広がっていた。


 ブレイカーは目の前にいると赤い液体を見比べながら、舌打ちをする。そして、怪物の方に何かを入れた。


 すると怪物は苦しみ出して、そして消滅して行く。ブレイカーはその姿を見て大きく舌打ちをして、転がっている飴玉を拾った。


「……あんたの未練は私が晴らす……」


 そう言ってブレイカーは手に握っていた飴玉を勢いよく口の中に放り込んで、それを噛み砕いたのだった。

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