3-4【ルールのことは覚えているだろうか】
☆ファイター
セイバーに呼ばれて食事の席に皆が集まる。どうやら、モニターとファイターが最後であったらしく、皆こっちを見ていた。
食卓の上に並べられていたのは、簡単な料理ばかりだったがとてもいい匂いが漂ってきていて、食欲をそそる。
席につくとセイバーがなにやらしゃべっている。どうやら乾杯の前にする挨拶らしいがファイターはそんなことより隣の少女に言いたいことがあった。
「モニター」
「なんですか?ファイターさん」
ファイターは小さく笑ってモニターの頭を撫でた。彼女は目を瞑って気持ち良さそうな顔をしていて、ファイターは嬉しくなる。
「二人でいぎのごっで、動画ば、とるけんな」
「……はい!」
モニターは元気よく挨拶をした。それを見たファイターは心が穏やかになり、必ず二人で生き残ると誓ったのだ。
よく聞くと、セイバーが乾杯と叫んでいた。ファイターもモニターも近くにあったコップに手を伸ばして、中にある液体を口の中に流し込む。
緊張してたのか、喉がとても乾いていた。だんだんと潤っていく体内に喜びを感じつつ、ファイターは隣にいるモニターの方を見る。
その瞬間、彼女の体に何かの液体がべちゃりと飛んできて、モニターが音を立てて椅子から転げ落ちた。
◇◇◇◇◇
☆ヒーラー
「モニターーーー!?」
突然赤い液体を吐いて倒れたモニターの元には、何人かの魔法少女たちが集まってどうにか助けようとしていた。
それを遠くから見ていたヒーラーはこのまま彼女が死ねばいいのになと考えていた。なんせ、目指すは優勝なのだ。邪魔者は少ない方がいい。
「ちょっ、ヒーラー!!こっち来てくれよ!!解毒剤くらいあるだろ!?」
ランサーがヒーラーの名前を呼ぶ。無視しても良かったが、流石にそこまでしたら今後の動きに支障が出てしまう。
慌てたフリをしながらバッグの中から解毒剤を取り出す。モニターの口からは流水のように血のようなものが湧き出続けていて、助かるかどうかは分からなかった。
けれど、やるしかなかった。ヒーラーは手にした解毒剤をモニターの口の中に押し込んだ。ゴクリと、彼女が薬を飲み込む音がして、少しだけ安心する。
私もまだ甘いな。そう考えてそこから立ち去ろうとした時、モニターは突然呻き声を上げ始めた。それと同時にガタンと起き上がって、体をガクガクと震わせる。
これが解毒方法なのか?そう思った瞬間、モニターは糸が切れた人形のようにその場に倒れこんだ。口だけではない。身体中から血を流しながら痙攣をしている。
「こ、これはどういうこと……!?」
「知らないであります!わ、私はちゃんと解毒剤を……!!」
その言葉と同時だった。モニターの体が大きく跳ねた。何度も。何度も。その度に血が、あたりに飛び散り、だんだんと辺りが真紅に染まっていく。
そして、八回ほど跳ねた後モニターは動かなくなった。
◇◇◇◇◇
☆ランサー
なんでこんなことがまた起きるのだ。
ランサーは叫びたかった。やっと掴めた平和。ガードナーの死を少しだけ受け入れようとしていた矢先、また人が死んだ。
モニターの体からは血は止まらず、けれど動きも息も止まっていた。なんで、死ぬ必要がある?なんで殺される必要がある?そんなこと、誰に聞けばいいのだ。
「みんな落ち着け。ルールのことは覚えているだろうか」
セイバーが冷静な声でそういう。そうだ、ここで人を殺した場合、処刑されると言っていた。だから、誰も死なないはずなのに。
しかし、ランサーたちの手元にあるスマホには無慈悲にメールが届く。震える指で、ランサーはスマホを操作してメールを読み始めた。
その時だった。
「えっ」
どこかでそんな声が聞こえて来た。その声が聞こえた方を見ると、一人の少女が青ざめた顔でスマホに届いたメールを読んでいたのだった。
【メールが届きました】
【ヒーラーとモニターが戦いました】
【結果、モニターは死にヒーラーは生き残りました。ヒーラーには1ポイント。只今の合計は 1 ポイントです】
【残りの魔法少女は 11名です。頑張ってください】
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます