2-2【なんがぁ、あやしい人影ば見んかったがや?】
☆モニター
ガサガサと森の中を動く少女。民族衣装のような格好に身を包み、しきりに自分の拳を握りしめたりしていた。名前はファイターと言う。
そんな彼女について行ってるのは、まるでデジタルの世界に住んでるような格好をしている少女。ふわふわと体を浮かばせながらアーチャーの後ろをぴったりと張り付いていた。
「モニターさ、なんがぁ、あやしい人影ば見んかったがや?おまぁの索敵能力ば頼りにじでんけんの」
何弁だよと、モニターは毎回ツッコミたかったが、毎回黙っている。聞いてもまともな声は返ってきそうにはなかったから。
モニターはとにかく索敵をしようとする。彼女のスキル。それはあたりに浮遊するカメラを飛ばすことができるというものだ。飛行距離には制限があるが、何かと便利な力だ。
ピピ……と電子音がなり、映像が頭の中に流れて来る。とりあえずこの辺りに怪しい影はなく、あるとしても怪物くらいだ。
怪物。あいつらは可能なら会いたくない。何体か倒した時、おそらくの世界の唯一の食料である飴玉を落とすが、場合によっては負けてしまいそうになる。
2〜3体倒さないと飴を落とさないため二人で生活するためには、6体は倒さないといけない。これはかなり多い。
だが、ファイターは強い。喋り方は変だが、怪物を10体以上倒してるので、気にしてはいけないのだろう。
「死にたくないなぁ……」
モニターはそう呟いた。後ろの方から、ファイターの声が聞こえて来たので、彼女のそばまで走って行く。まぁ、二人でいれば大丈夫だとおもう。
と、思わないとやっていけない。だから今は今を生きるしかないのだなぁと、どこか他人事のように考えていた。
◇◇◇◇◇
☆ガードナー
息を整えながら大きな盾を背負っている少女が道を歩いていた。彼女、ガードナーはある少女を探している。
フェンサー。ガードナーにとっての王子様。彼女によってガードナーは救われたのだと、彼女は言いふらしたかった。
最初、ガードナーは外に出ようと思った。殺し合い肯定派ではないが、あの場に留まっていたら、あのうるさそうな魔法少女のランサーと共にいることになる。それは嫌だ。
でも出られなかった。タイミングを見失ってしまい、その場から動けなかった。
そんな彼女に手を差し伸べたのは、フェンサーだった。彼女は短い間だったが、ガードナーを優しくしてくれた。それだけで、充分だった。
フェンサーに会いたい。彼女が死んでるわけがないと、ガードナーは何度もつぶやいていた。
「う、うっ……」
ガードナーは空腹に倒れる。食事の仕方がわからないゆえに、何も口にしてないのだから。
「フェンサーさん……どこにいますか……どこに……」
彼女は顔を上げる。ガサガサと草木をかき分ける音で、怪物かとガードナーは考えた。ここで死ぬのかと、彼女は考えていた。
しかし、彼女の視線に映ったのは、怪物じゃなかった。
「……っ!!」
そこにいたのは、見間違えるわけがない。フェンサーだ。彼女が探していた人物が、歩いていた。
声をかけようとしたが、もう声が出なかった。消えて行く彼女の姿を見ながら、ゆっくりたちあがる。
生きていた。それだけでいい。まだ死ぬわけにはいかない。ガードナーはフェンサーが歩いて行った方に進んで行く。
彼女の目は希望に満ち溢れていた。
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