埃かぶったCD

時間は流れて、お昼休み。

持ってきたCDの存在を今の今まで忘れてた。どんな曲だったっけ。

CDケースを開けてみると、曲名が。

何だこれ。何語だ。英語じゃないし…読めない。


「あれ、つぐちゃんそのCDどうしたの?」

「ん、ああ、ひま、部屋で埃かぶってた古いやつ。なんか気になってさー。」

「へー!見せてよ!えーっと……これ、無伴奏チェロ組曲だって!」

「えっ、ひま、これ読めたの?」

「もちろん!仮にも音楽家志望だし、他の楽器のことも知ろうと思ってね、調べてたんだ。」

にっこり笑って、ひまはそう言った。

「何語?」

「ドイツ語!」

……そりゃあ私には読めないわ。

なんでこんなCDが私の家にあるんだろう?


「つぐちゃん、ここ、うっすら線書いてない?」

「ほんとだ!でもなんて書いてんのこれ……」

「無伴奏チェロ組曲第一番ト長調、だよ。線引っ張ってるってことは、重要なんじゃない?」

この薄い薄い鉛筆の跡、よく気づいたなぁ……それにしても、この線の意味は何だろう?


「そうかもね、ありがとう、ひま。後で聴いてみる!」

「はいはーい!こんくらいならいつでもどうぞ!」


無伴奏チェロ組曲第一番ト長調、かぁ。クラシック曲だよね、きっと。クラシック曲聴くの、いつぶりだろう……とか思い返してたら、いつの間にか、お昼休み終了のチャイムが響いていた。

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