一冊の本と兄と
「歩き疲れたら、立ち止まる。道を歩く時も、人生でも、どちらでも。」
衝動買いした小説の中の1文。
どこからか、懐かしい心地を思わせた直後、一気にページをめくるように私の記憶が蘇る。
この瞬間だった。
私に兄がいた事を思い出させたのは。
幼い私に、とっても優しかった10歳離れた兄。
そんな兄が私に告げた、「歩き疲れたら、立ち止まっていいんだよ」という一言。そして兄の名字は、私の前の名字の鈴依である。
私の記憶にある兄に関することはそれだけ。それだけしか残ってないけど、幼い私は兄が大好きだった。
ぴたりと記憶が蘇るのが止まる。
忘れていた幼い私の記憶が、どこかから舞い戻ってきてくれた。
なんだか嬉しいけど、こんなにもなくしてしまった記憶があったと思うと、少し悲しい。
そしてやはり気になるのは兄のこと。
きっと兄もこの本を読んだ。
確信はできないけど、妹のカン。
香坂つぐみ、生まれてこの方熱中したことなどないが、生まれてはじめて兄探しに、熱中しよう。
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