それは確かに愛だった
水篠 皐月
記憶
香坂つぐみ。とある公立高校の2年生。
私には最近、思い出した過去がある。
それは、自分には10歳離れた兄がいたということ。
私の両親は私が5歳、兄が15歳の頃に離婚し、兄を父が、私を母が引き取った。
兄は私と離れる直前に「歩き疲れたら、立ち止まっていいんだからね」と言った。
幼かった私は疲れたらおやすみするのは当たり前だと思っていたから、そんなこと、あたりまえでしょう?って思いながら「うん」って返したっけ。
どうしてこんなことを思い出したかというと、本を読んだからである。
私は別に読書家でも、特に本が好きな訳でも無い。
学校からの帰り道、ふと目に入った本屋のあかり。それに惹かれて、何となく入った時、一冊の本の前で足が止まった。
その本が面白そうと思った訳では無いし、はたまた興味のある事が書かれていそうな訳でもなかったけれど、何故か、何故かとても、気になった。
自分のこの思いに気がついたのは、もうレジで会計を済ませた後だったけれど。
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