Ⅱ 迷い込んだ女子高生
「まだ生きてるってどういうことなんだ?」
「うーん。彼女はここに迷い込んでしまったんだと思う。恐らく日辻くんと同じ方法で。」
「俺と同じ方法?」
「そう。彼女はあの線路に自ら身を投げたんだ。」
「それって、まさか...自殺?」
「・・・だろうね。でも、たまたま来た電車があの幽霊電車だったから、死ななくて済んだんだ。」
「じゃあ何故、彼女はここにいるんだ?」
「君がここに来たのは、強く君が死を意識したからだと説明したよね?それと同じで彼女も強く死を意識してた。それによって肉体は生きていても、魂はここに飛ばされたんだよ。今頃彼女の身体は、搬送先の病院のベッドの上で寝ているはずさ。」
「名前はなんて言うの?」
「あ!すみません。えーと、私は
見た目は普通の女子高生。礼儀正しそうな人だ。
「『ゆり』ちゃんね。どうしてここに来たのか分かる?」
いきなりの下の名前呼び。流石だ。
「・・・・・・」
彼女は目を逸らし、言いたくなさそうにした。
「・・・あの、元の世界で私はどうなっているんでしょうか?」
今度は
さっき、
言いたくないような事情があるのだろうか。
「病院のベッドで昏睡状態になっているよ。」と
「死ねなかったんだ...。」
部屋中に沈黙が漂った。
そんな空気の中、
「お嬢さん。我輩の研究所見ていくかい?」
「えっ?」
ミケット博士が提案した。彼女はぽかんとしている。
「折角の出会いさ。特別なおもてなしをしてあげよう。ついて来てくれ。」
そのまま、俺たちはミケット博士に連れられて研究所へむかった。
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