Ⅱ 迷い込んだ女子高生

「まだ生きてるってどういうことなんだ?」


「うーん。彼女はここに迷い込んでしまったんだと思う。恐らく日辻くんと同じ方法で。」

「俺と同じ方法?」

「そう。彼女はあの線路に自ら身を投げたんだ。」

「それって、まさか...自殺?」

「・・・だろうね。でも、たまたま来た電車があの幽霊電車だったから、死ななくて済んだんだ。」

「じゃあ何故、彼女はここにいるんだ?」

「君がここに来たのは、強く君がを意識したからだと説明したよね?それと同じで彼女も強くを意識してた。それによって肉体は生きていても、魂はここに飛ばされたんだよ。今頃彼女の身体は、搬送先の病院のベッドの上で寝ているはずさ。」

イザナイは眉に皺を寄せた。


「名前はなんて言うの?」イザナイは彼女に尋ねた。


「あ!すみません。えーと、私は仲里雪鈴なかざとゆりです。高校2年です。」


見た目は普通の女子高生。礼儀正しそうな人だ。

「『ゆり』ちゃんね。どうしてここに来たのか分かる?」

いきなりの下の名前呼び。流石だ。

イザナイは初対面の相手でもフランクにいく。しかし、俺はイザナイのようにはいけないので、仲里さんと呼ぼう。


「・・・・・・」

彼女は目を逸らし、言いたくなさそうにした。


「・・・あの、元の世界で私はどうなっているんでしょうか?」

今度はイザナイの目をしっかりと見つめて言った。


さっき、イザナイがここがあの世であると言ったとき彼女は「やったー」と言った。

言いたくないような事情があるのだろうか。


「病院のベッドで昏睡状態になっているよ。」とイザナイが応えた。


「死ねなかったんだ...。」

部屋中に沈黙が漂った。


そんな空気の中、

「お嬢さん。我輩の研究所見ていくかい?」

「えっ?」

ミケット博士が提案した。彼女はぽかんとしている。

「折角の出会いさ。特別なおもてなしをしてあげよう。ついて来てくれ。」


そのまま、俺たちはミケット博士に連れられて研究所へむかった。

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