第6話 日曜日



 この日常が、いつまでも続くと思っていた僕が馬鹿だった。




 花は、コチョウランは、いつか必ず枯れることは、当たり前なのに。






 僕は、夢を見ていた。

 彩の父親から電話が来て、急いで病院に駆けつけた。

 でも、もう彩は息をしていなくて。

 僕は大声で泣いた。そしたら、彩の父親も一緒になって泣いた。

 目の前が真っ暗になって、やがて僕の名前を呼ぶ声が聞こえた。



「勇気くん。ねえ、勇気くん!」

 目を開くと、綾音の顔があった。

「何だよ、もう……。」

 僕は目をこすりながら上半身だけ起き上がり、コチョウランの隣にある目覚まし時計を取った。

 目覚まし時計の針は、ちょうど十二時をさしたところだった。

「なんだ、まだ十二時か……。」

 僕はさっきと同じように寝ころがった。

「ちょっと、勇気くん!十二時だよ?夜じゃないよ、お昼の十二時だよ!」

 僕はその言葉に反応して、さっきと同じように上半身だけ起き上がった。

「あー、よく寝た。あれ?今日って何曜日だっけ?」

 僕は近くに置いてあったTシャツに着替えた。

「今日は、日曜日だよ。」

 綾音はコチョウランのすぐ近くに立った。

「勇気くん、朝ごはん食べたら、ここ集合ね。」

 僕は小さく頷いて、キッチンへ向かった。

 キッチンでは、母がそうめんをゆでていた。

「おはよう、勇気。綾音ちゃんとうまくいってる?」

「え……母さん、見えるのか?」

 母は机にゆであがったそうめんが盛られた皿を置いた。

「今朝勇気を起こしに部屋に入ったら、綾音ちゃんがいてびっくりしちゃった。妖精なんでしょう?可愛いわねえ。」

 僕は席に着いてそうめんを食べた。

 綾音は何かを隠している、そう思った。



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