第46話 だいじょうぶ

お母さんお母さん

こわいよお母さん

お母さんこわい


だいじょうぶ

今から行けば間に合うから

だから静かにしているの

知らないふりをして

このまま歩いていけばいい


お母さんお母さん

でもどうするの

どこへ行くの

行く所なんてあるの


あるから歩くの

だから静かにするのよ

知らないふりをして

ほらだいじょうぶ


ああほんとうだ


だから静かに

このまま歩くのよ

ここを切り抜けるの

もうだいじょうぶ


(わたしは子どもを連れて谷から谷を渡っていた。これはその途中、ごくちいさな村を通ったときの会話。なにに怯えていたのかわからない。穏やかな村人の誰にも気づかれないように静かに歩き去った。逃避行中だったのかもしれない)

 ここで目が覚めた。

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