第3話 CODE零~始まりの村~

「はっ!?」


 何が起こったのか、一瞬理解ができなかった。

気づけば俺は田舎っぽい村にいた。よくある和製RPGに出て来る村のようだ。


「な、なんだここは? 俺はさっきまでベルと一緒に……」

「呼んだ? レイヴン」

「わあ! え……? お前、ベル、か?」

「そうよ、私はベル。いいえ、今はアイナと名乗るべきでしょうね」

「どういうことだ?」

「私はね、降り立つ世界によって姿を変えるの。キャラ変更ね。今はクールな少女にキャラ変更しているわ」


 確かに、アイナと名乗る少女は女盗賊っぽい格好のクーデレな感じだ。


「は? なんだそれ!」

「ちなみに、あなたはできないから」

「意味がわかんねえよ……ズルすぎる」

「ま、いいじゃない。じゃあ行きましょう」

「行くってどこへ」

「困っている人を助けによ」


 のどかな風に見えるこの田舎の村にそんな困りごとなんてあるのか?

そう思った俺は訝しみながら、アイナと名乗っているベルの後を追った。


 簡潔に言うと、困りごとはあった。

村の少女アリスが村の近くに住むゴブリン達によって拐われてしまっていたのだ。

 そのアリスを助けてきてほしいというのが、村人たちの話だった。


「アリスって娘は~。とってもいい子なんですよぅ。みんなのアイドルって感じでえ。だからあ、助けてほしいんですう」


このややうざったい喋り方の村人も含め全員幼女だ。言うまでもなく。いや、一応言わないとだめか。

さらわれた少女を助ける。なんとも最初のお話に相応しいクエストだなと俺は思った。

 武器屋で俺は剣と盾を買い、アイナは弓と道具一式を買う。

どこからそんな金が出たのかというと、初期資金としてアイナが持っていたのだ。

 つまり、このお金をもとにして、今回のクエストを行なえということらしい。素直に助かる。

そして武器はといえば魔力が宿ったおもちゃの武器である。殺傷能力はないのだ。


「ちなみに、今後初期資金がないクエストもあるから、気をつけてね」

「それは、面白いな」


 ゲーマーの血が疼く。


「じゃあ、ちゃちゃっと終わらせようぜ。どうせ最初のクエストなんだ。楽勝だろう?」

「ま、そうだといいがの」


 なんでそこだけ神様口調なんだよ……


 ともかく俺たちは最初の村を出たのだった

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