第43話 vsジャガーズ【最終回 表】④
ゆっくりと振りかぶる左投手・海老原渚。そのフォームは本来とはまったくことなる、大きなテイクバックから上半身をくの字に折り曲げた――
「しかも……アンダースロー、『サブマリン投法』!?」
右の二段モーションと左のアンダースロー。海老原渚は野球史にも類を見ない“超変則スイッチピッチャー”だったとは。
「ナメるな!」
キィン、とフルスイングから鋭いライナーが飛ぶ。しかしそこは……
「うりゃー!!」
右中間に飛んだ打球。が――ブレスレットを本来の主に戻し、守備位置を入れ替えた正真正銘“センター・つるちゃん”の守備範囲。
必死にダイブした背番号8が、地面ギリギリでダイビングスライディング・キャッチの美技を魅せつけた。
「捕……捕たよー……」
「つるちゃん! 鼻血出てる鼻血ー!」
捕球時に顔面を殴打したのか、小鼻を血まみれにしたつるちゃんに妹・かめちゃんが駆け寄る。それでもつるちゃんは打球を離さず、グラブをしっかりと掲げてみせた。
SHIT、とダガーJがバットを地面に叩きつける。大きく息をついた渚を俺はベンチで迎え入れた。
【七回裏終了】百合ケ丘サンライズ2-3フライングジャガーズ
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