第40話 vsジャガーズ【最終回 表】①

「ストライク! バッターアウト!」

 渚の華麗なSFFに、2番打者が三振に倒れた。この回ふたつめ、合計6つ目のストライクアウト。

「SHIT!!」

 大きく肩で息をするマウンドの渚。俺はスコアブックを抱えたキリエに声をかけた。

「キリエ」

「ええ。前のイニングで100球を超えているね。SFFの精度も大分わるくなってるかも」

 キリエが前を向いたまま心配そうな声をあげる。俺も拳を握りしめた。


 序盤の一~三回、俺の使わせた『スピットボール』の効果もあり、渚はひとりの走者も許さないパーフェクトピッチを披露。しかし不正投球を封印しスタミナも切れかけた四~六回では、与四球2の被安打7。2失点で済んでいるのが不思議なくらいだ。

(渚に代わる二番手投手を用意しておかなかったのは俺のミスだったな……)

 渚のこの中で投手を任せるのならば抜群の器用さを見せるジョーだろうがしかし、ピッチャーは急造で務まるポジションではない。それゆえどうしても後手になってしまっていた。

(どうする……この回だけでもぶっつけ本番でジョーに託すか)

 いや、と俺は首を振った。2アウトながら、次の打者は今日2安打の主砲・アレックス。彼が出塁すれば、次は4番・ダガーJへと打順が回る。

「渚と心中するしかない」

 俺が意を決したとき、打席に入ったダガーJが怪訝そうな表情でさららに声をかける。

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