第29話 vsジャガーズ【2回表】シークレットサイン

 2回表。先頭打者はダガーJ。

「ようアンルーリー、この間はよろしくやってくれたな」

「いい加減口が減らないわね、ダガーJ」

 空軍ってのはおしゃべりばっかりで嫌になるわ、とジョー。カウントはノーストライク2ボール。

「しかし、アレックスが打ち損じやがったからどんなもんかと思ったら、ただのストレートじゃねえか」

 打席のダガーJがプゥッとガムを膨らませた。これまでの配球は外角に2球。打ち気にはやるダガーJはなかなか勝負をかけないバッテリーにイライラきているようだ。

 ジョーの目線がベンチの俺を見据えた。俺はこっそりと顎に手を触れたあと、ベルトのバックル、そして帽子のツバに触れた。サンライズナインにも教えていない、ジョーと俺だけの秘密のブロックサイン。

 サインを確認したジョーがコクリと頷いた。

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