殷仲文  おべんきょキライ

殷仲堪いんちゅうたんの従弟にして桓玄かんげんの幕僚、

桓玄が負けたらあっさり劉裕りゅうゆうにつき、

しかも左遷されたのを怨んで

謀叛を起こそうとしたら

未遂段階でさくっと潰されて殺された、

殷仲文。


かれの文才はすさまじかったそうだが、

読書量が全然足りていなかった。


なので、かれの才能を知る

傅亮ふりょうは言っている。


「かれが袁豹えんひょう殿の半分でも

 本を読んでおれば、

 きっと班固はんこにも劣らなかったろうに」




殷仲文天才宏瞻,而讀書不甚廣,傅亮歎曰:「若使殷仲文讀書半袁豹,才不減班固。」


殷仲文が天才は宏瞻なれど、讀書は甚だ廣からざらば、傅亮は歎じて曰く:「若し殷仲文をして袁豹が半ばの書を讀ましむらば、才は班固に減ぜざるに」と。


(文學99)




傅亮

劉裕のプリンタ。その文才を買われて、劉裕の上表や、あるいは皇帝に即位した後の詔勅文などは基本的にすべてこの傅亮が手掛けた。まぁ要するにすごい文学人である。そしてご多分に漏れず政争に敗れて処刑されている。だから文学人はロクな目に遭わんから枢要に登るなと。


袁豹

こんな形でしか登場していないが、南朝袁氏と言うとかなりの盛族なのである。その起源の辺りにいる人。の割に宋書でも結構扱いが小さい。まぁこの人の息子がね、宋末期に大活躍するんですけどね! えっ名前? 袁粲えんさんって言うんですけどね!(一座爆笑)


班固

漢書を書いた人。とりあえず「史記、漢書は歴史記述における最高峰」と言う評価が示す通り、中国史上でも抜群の文学者であることは間違いがない。そこになぞらえられてるということは……って言いたいところだけど、傅亮が殷氏の名士、たとえば殷穆いんぼく(※殷融いんゆうの孫)辺りと話してた時のリップサービスなんじゃねえの感が半端ない。



※袁粲

高官になるんだけど割としょっちゅう降格を食らって、それでも明帝劉彧りゅういくには後事を託されるなどの位置には座る。のだけれどその後ぐだぐだのかじ取りをして無事にせい高帝・蕭道成しょうどうせいに玉座を明け渡すアシストをした。

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