孟嘉 仮病つかわれた兄
桓温幕僚
既出:庾亮13
孟嘉が仕官すると、その才能は
瞬く間に世に知られたのだが、
孟陋は武昌に引き籠ったまま、
出てこようとはしない。
そこで
孟陋をひと目見たいと、
「兄上の病が篤くなりました」
と言う虚報で孟陋を釣りだした。
お前ら……。
兄のピンチを聞き、
慌てて建康に出てくる孟陋。
やってきた孟陋に対し、
時の名士たちはこぞって会いに行く。
そして誰もがその人となりを
激賞せずにはおれなかった。
そして、彼らは言う。
「あの弟がいたのであれば、
兄は死んでも構わんな!」
いや、その……。
孟萬年及弟少孤,居武昌陽新縣。萬年遊宦,有盛名當世,少孤未嘗出,京邑人士思欲見之,乃遣信報少孤,云「兄病篤」。狼狽至都。時賢見之者,莫不嗟重,因相謂曰:「少孤如此,萬年可死。」
孟萬年、及び弟の少孤は武昌の陽新縣に居す。萬年の遊宦せるに、當世の盛名を有せど,少孤は未だ嘗て出でず、京邑が人士は之を見んと欲せるを思え、乃ち信を遣りて少孤に報せしめ、云えらく「兄が病、篤し」と。狼狽し都に至る。時賢の之に見えたる者に嗟重せざる莫く、因りて相い謂いて曰く:「少孤の此くの如きなれば、萬年は死すべし」と。
(棲逸10)
孟嘉
晋書では、この人だけ何故か
なおお酒に関するエピソードはこんな感じです。
孟嘉はお酒がめっちゃ好き。
いくら飲んでも乱れない。
そんな孟嘉に、桓温さまが聞く。
「酒の何がよくて、
お前はそうも飲んでるんだ?」
孟嘉は答える。
「公よ、あなたさまが
酒に酔う事の真の楽しさを
まだご存じないだけでございます」
嘉好酣飲,愈多不亂。溫問嘉:「酒有何好?而卿嗜之?」嘉曰:「公未得酒中趣耳。」
嘉は酣飲を好み、愈いよ多かれど亂れず。溫は嘉に問うらく:「酒に何ぞの好しき有りや? 而して卿は之を嗜まんか?」と。嘉は曰く:「公は未だ酒中の趣を得たらざるのみ」と。
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