石崇1  贅沢モノの狂宴1

金谷会参加者 石崇せきすう 全2編

既出:謝安35、王羲之7、王導50

   王敦10、武帝18、武帝19

   王敦11、金谷1、金谷2



石崇と王愷おうがいの贅沢っぷりのお話である。


王愷は乾かした米で燃やして

釜を温め、米を炊いた。

石崇はろうそくを何本も立て、

釜を温め、米を炊いた。

どちらも非効率の極みである。


王愷は四十里、

十六キロメートルほどの長さの

つややかな紫の布地を裏面にあつらえた

カーテンを作った。

そしたら石崇は、何とシルクで

二十キロメートルほどの

カーテンを作った。


また石崇、当時は贅沢品の極みであった

山椒をふんだんに壁に塗り込んだ。

すると王愷も赤石脂、

鉱物由来の生薬で、

あの五石散の原料にもなっている薬物を

ふんだんに塗り込む真似に出た。


お前ら……。




王君夫以(米台)糒澳釜,石季倫用蠟燭作炊。君夫作紫絲布步障碧綾裹四十里,石崇作錦步障五十里以敵之。石以椒為泥,王以赤石脂泥壁。


王君夫は(米台)糒を以て釜を澳め、石季倫は蠟燭を用いて炊を作す。君夫は紫絲の布を作して碧綾裹にて步障とせること四十里、石崇は錦を作して步障とせること五十里にして以て之に敵す。石は椒を以て泥と為し、王は赤石脂を以て泥壁とす。


(汰侈4)




石崇、王愷

世説新語の汰侈たいし編は、捷悟しょうご楊脩ようしゅう假譎かきつ曹操そうそう儉嗇けんしょく王戎おうじゅう、みたいな感じで、汰侈=石崇&王愷と言っていい感じです。晋の名将、石苞せきほうの息子としてブイブイ言わせた石崇、外戚としてブイブイ言わせた王愷。なお王愷には死後「醜」と諡されたとのこと。仕方ないね……。

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