石崇2 贅沢モノの狂宴2
豆が煮えづらいのにもかかわらず、
すぐさま提供がなされた。
また、真冬にスープを提供する時には、
真夏にしか取れないはずのニラが
常に入っていた。
それと、石崇の持ち牛は
さほど立派でもなかった。
しかし石崇が王愷と共に
遊びに行った時、洛陽に戻るにあたって
どう頑張っても石崇の牛のほうが速い。
めっちゃ速い。鳥みたい。
スタートの時間に
ハンディキャップを付けても、
それでもなお、王愷の牛の全力疾走で
石崇の牛に及ばない。
豆粥、真冬のニラ、牛。
この三つのことを王愷、
常に悔しがっていた。
そこで王愷、石崇の部下にわいろをやり、
秘訣を聞くことにした。
料理番は言う。
「豆は煮えづらいですよね?
ですのであらかじめすり潰しておき、
煮込んだペーストを作っておきます。
来客があったら、
それを白粥に混ぜるのです。
ニラのスープにつきましては、
あれは、葉でなく、根です。
根を搗いておき、
そこに麦の苗を混ぜるのです」
御者は言う。
「牛は元々足が遅いわけではありません。
ただ、御者が制御しきれないから、
速度を抑え込んでいるだけなのです。
ためしに、牛車から
自由にしてみてごらんなさい。
本当に速いですよ」
これらを聞き、王愷、聞いた通りにした。
するとどうだ、確かに石崇に
十分対抗できるではないか。
一方の石崇である。
社外秘を漏らしやがったアホどもを
皆殺しにした。
ぇえ……。
石崇為客作豆粥,咄嗟便辦。恆冬天得韭蓱虀。又牛形狀氣力不勝王愷牛,而與愷出遊,極晚發,爭入洛城,崇牛數十步後,迅若飛禽,愷牛絕走不能及。每以此三事為搤腕。乃密貨崇帳下都督及御車人,問所以。都督曰:「豆至難煮,唯豫作熟末,客至,作白粥以投之。韭蓱虀是搗韭根,雜以麥苗爾。」復問馭人牛所以駛。馭人云:「牛本不遲,由將車人不及制之爾。急時聽偏轅,則駛矣。」愷悉從之,遂爭長。石崇後聞,皆殺告者。
石崇は客が為に豆粥を作し、咄嗟にして便ち辦ず。恆に冬天にても韭蓱虀を得る。又た牛が形狀と氣力の王愷が牛に勝らざるに、愷と出で遊び、極めて晚きに發し、爭い洛城に入るに、崇が牛は數十步後れど、迅きこと飛禽が若くせば、愷が牛は絕走せど及ぶ能わず。每に此の三事を以て搤腕を為す。乃ち密かに崇が帳下都督、及び御車人に貨し、所以を問う。都督は曰く:「豆は至って煮難し、唯だ豫め熟末と作し、客の至らば白粥を作し以て之を投ず。韭蓱虀は是れ韭根を搗き、雜うるに麥苗を以てすのみ」と。復た馭人に牛の駛す所以を問う。馭人は云えらく:「牛は本より遲からず、由に車を將ぶ人の之を制すに及びたらざるのみ。急なる時は偏轅を聽さば、則ち駛せたり」と。愷は悉く之,に從い、遂に長を爭う。石崇は後に聞き、告げたる者を皆殺す。
(汰侈5)
石崇さんカジュアルに人を殺しすぎ問題……。
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