王衍4  娘婿の裴遐2  

周馥しゅうふくという人のところに

遊びに出掛けた、裴遐はいか

周馥、歓迎の宴会を開いた。


そのなかで裴遐、囲碁に夢中になる。

やがて周馥の副官が、

裴遐に酌をしようとした。


裴遐、囲碁に夢中になり、気付かない。

このおれを無視すんのか!

副官どの、怒り、裴遐を

席から引きずり下ろし、地面に落とす!


えっまって?


突然の暴挙に、しかし裴遐、

特に変わったこともない。

再び席につき、囲碁を再開。


で、このシーン。

王衍おうえんも目撃していた。


後に王衍、裴遐にたずねた。


「あの時、なぜ怒らずにおれたのだ?」


すると裴遐、答える。


「いや、勝負にばかり

 気を取られていまして」




裴遐在周馥所,馥設主人。遐與人圍棋,馥司馬行酒。遐正戲,不時為飲。司馬恚,因曳遐墜地。遐還坐,舉止如常,顏色不變,復戲如故。王夷甫問遐「當時何得顏色不異?」答曰:「直是闇當故耳。」


裴遐は周馥が所に在り、馥は主人を設く。遐は人と圍棋し、馥が司馬は行きて酒す。遐は正に戲れ、時に飲を為さず。司馬は恚り、因りて遐を曳き地に墜とす。遐は坐に還じ、舉止は常の如し、顏色は變ぜず、復た故の如く戲る。王夷甫は遐に問うらく「當時にては何ぞ顏色の異ならざるを得たりや?」と。答えて曰く:「直だ是れ當に闇たる故のみ」と。


(雅量9)




なかなかに鷹揚というか、

茫洋な人だったのかもですねー。


周馥

桓温かんおんさまが蜀討伐に参加した時に従軍していた人……は、同姓同名の赤の他人のようだ。こちらの周馥さんはあの周顗しゅうぎさんの親族とのことである。八王の乱真っただ中を生き抜いた人。けれども司馬越しばえつと対立し敗北、そして司馬睿しばえいの手により捕まり、獄中で病死した。清廉なるこの人を司馬越はことのほか苦手としていたそーである。

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