山濤2  人事部長    

山濤さんとうの役職、それは吏部尚書りぶしょうしょ

言ってみれば人事部長である。


推挙のあった人物を審査し、

お眼鏡にかなうようであれば登用する。

そう言う権限を持っていたわけだ。


そして、その基準としては

高潔であること、が重要であった。


ゆえに山濤が吏部尚書であった間、

役務を全うできないような人物は

ほぼ推挙しなかった。


各部署に配属させるときに

推薦書に載せていた文言も、

まさしくその人物を言い当てていた。


ただ一人の例外がある。

陸亮りくりょう、という人物だ。


実のところ、山濤としては

彼を落したかった。


だが武帝ぶていさまからダイレクトで

「おいこいつ要職につけろよ」と

命令が来てしまっていた。


いやいやこいつは無理ですよ、

山濤さん、頑張って反対したが、無駄。


その後陸亮は賄賂の誘惑に負け、

免職された。




山司徒前後選,殆周遍百官,舉無失才。凡所題目,皆如其言。唯用陸亮,是詔所用,與公意異,爭之不從。亮亦尋為賄敗。


山司徒の前後に選ぜるに、殆ぼ百官を周遍せど、失才無く舉ぐ。凡そ題目とせる所、皆な其の言が如し。唯だ陸亮を用うるに、是れ詔にて用いられたる所にして、公が意と異なれど、之に爭いて從わず。亮は亦た尋いで賄いに敗るるを為す。


(政事7)




陸亮

この姓だし呉郡ごぐん陸氏だな! よっしゃ! と思ったら河内郡かだいぐんのひとでした。単純思考ダメですねー反省。上記の内容を厳密に書くと、もともと公正な人ではあったそうなのだが、山濤から見ると適職は尚書僕射しょうしょぼくしゃ、つまり皇帝の秘書であり、吏部には不適格だ、という認識だったそーである。つまり、決して無能な人だ、というわけではない。まぁ、吏部ってほんにガンガンまいないに晒されるでしょうしねえ。

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