王恭13 王恭と王忱4  

王恭おうきょう王忱おうしんに聞く。


阮籍げんせきは、司馬相如しばしょうじょと較べてどうだろう」


王忱は答える。


「何ら変わらんさ。


 ただ、阮籍の胸のうちには

 深いわだかまりがあった。


 それを洗い流さんと、

 酒を痛飲していたのだろうな」


前漢ぜんかんの時代、

武帝ぶていに大いに気に入られていた

司馬相如。


西晋せいしんの時代、

司馬昭しばしょうに大いに気に入られていた

阮籍。


その差を、酒と見るわけだ。



なるほど、ではここで

王忱さんのコメントを

一つ紹介しておこう。


「三日酒を飲まないでいると、

 どうにも心と体が

 離れ離れになってしまう感じがある」


あっダメだ

これただのアル中の放言だ……




王孝伯問王大:「阮籍何如司馬相如?」王大曰:「阮籍胸中壘塊,故須酒澆之。」

王孝伯は王大に問うらく:「阮籍は司馬相如とで何如?」と。王大は曰く:「阮籍が胸中は壘塊、故より須らく酒にて之を澆う」と。

(任誕51)


王佛大歎言:「三日不飲酒,覺形神不復相親。」

王佛大は歎じて言えらく:「三日として酒を飲まざれば、形と神との復た相い親しまざるを覺ゆ」と。

(任誕52)




王恭と王忱のイチャイチャぶりがマジでやばい。あえて強引に踏み込めば、おれは今阮籍だ、くらいの気持ちは抱いていたのかもですね。そこで司馬氏に比定されるべきはやっぱり桓玄、なのかなあ。この時期桓氏はそこまで圧力強くなかっただろうから、さすがに穿ちすぎだろうけど。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る