庾亮23 息子を喪った日
寡婦ともなれば、
新たな嫁ぎ先を探さねばならない。
新しく婿を探そうと思うがよろしいか、
諸葛恢、庾亮さまに宛てて手紙を送る。
庾亮さまは、返信にて言う。
「其方の賢き娘御は、
まだ若くあらせられる。
早急に探して差し上げるが
よろしかろう。
あぁ、それにしても、
我が子を失いたること、
未だつい先日がごときである」
庾亮兒遭蘇峻難遇害。諸葛道明女為庾兒婦,既寡,將改適,與亮書及之。亮答曰:「賢女尚少,故其宜也。感念亡兒,若在初沒。」
庾亮が兒は蘇峻の難に遭い、害さるに遇う。諸葛道明が女は庾が兒の婦と為れるも、既に寡たれば、將に改めて適さんとし、亮に書を與え之に及ぶ。亮は答えて曰く:「賢女は尚お少く、故より其は宜しきなり。感じ念うらく、亡き兒、初に沒せるの在すが若し」と。
(傷逝8)
蘇峻の乱は庾亮にとって失ったものがあまりにも大きな乱ではあったんですが、どうしても同情し切れんのですよねぇ。なにせ世説新語は「いうてお前のせいで蘇峻たちが怒り爆発させたんだろうが」ってことを繰り返し主張してます。そして、晋書でも似たような論調になってるっぽい。
まぁ「わかりやすいブックのためのスケープゴート」な印象も強いんですがね。元々東晋政府は地元豪族や兵戸を圧迫するような方向の政策をとっていたわけで、庾亮はちょうどその出口付近にいただけな感じもありますし。「物語に都合のいい人物」の取り扱いは怖いよなぁ。
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