桓温43 酒鑑定職人   

桓温かんおんさまの書記官で、

酒の目利きに長けた人物がいた。


桓温さま、酒を手に入れると、

まず彼に味見をさせる。


すると彼は、

良い酒は「青州せいしゅう従事じゅうじです」と、

悪い酒は「平原へいげん督郵とくゆうです」と言う。


青州にはせいという郡がある。

これは「へそ」にも通じる文字である。

酒の滋味が臍にまで染み渡るため、

こう寓意している。


一方の平原郡には、かく県がある。

これは「かく」、つまり胸と腹の

境界辺りを指す字に通じる。

つまり、酒が膈の辺りで止まってしまい、

あまり深く染み渡ってこない。


そう言った言葉遊びで、

酒のグレードを語ったのである。




桓公有主簿善別酒。有酒、輒令先嘗、好者謂:「青州從事。」惡者謂:「平原督郵。」青州有齊郡、平原有鬲縣。從事言:「到臍。」督郵言在:「鬲上住。」


桓公に善く酒を別くる主簿有り。酒有らば、輒ち先に嘗めさしむ。好き者を謂えらく「青州從事なり」と、惡しき者を謂えらく「平原督郵なり」と。青州は齊郡を有し、平原は鬲縣を有す。從事は臍に到れるを言し、督郵は鬲上に在りて住むを言す。


(術解9)




この言葉遊びは、うまく運用できると面白そうですなー。

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