桓温28 謝安、郷人を推す

謝安しゃあんさまが桓温かんおんさまの副官になった時には、

こんなエピソードも残されている。


桓温さまの部下に、趙悦ちょうえつと言う人がいる。

農務系の業務をつかさどっている人だ。


謝安さま、彼に会稽かいけい時代の部下

十数人を推挙してきた。


さて趙悦、桓温さまに

「謝安殿より、このような推挙を

 頂戴したのです」

と報告。すると桓温さま、


「そうか、まぁ半分くらい

 雇っておけばいいんじゃないか?」


と返答。だが趙悦、

いきなり全員を雇用した。

そして改めて、桓温さまに言う。


「謝安殿に対して、

 司馬昱しばいくさまや貴方さまと言った

 多くの貴顕が出仕を

 幾度も勧めておられましたよね。


 が、一方でそのどなたもが、

 結局謝安殿が世に出て来ないのでは、

 と恐れられてもおりました。


 そのような方よりの人材推挙です。

 うかつに扱えば、謝安殿のことです、

 またしても会稽に

 引き籠ってしまう事もありえましょう。


 それとも桓温さまは、

 これ以上、彼を会稽に

 引き籠らせたいとお考えですか?」




謝公作宣武司馬、屬門生數十人於田曹中郎趙悅子。悅子以告宣武。宣武云:「且為用半。」趙俄而悉用之、曰:「昔安石在東山、縉紳敦逼、恐不豫人事。況今自鄉選、反違之邪?」


謝公の宣武が司馬と作るに、門生數十人を田曹中郎の趙悅子に屬す。悅子は以て宣武に告ぐ。宣武は云えらく「且しく半ばを用うるを為すべし」と。趙は俄に之を悉く用いて曰く「昔、安石の東山に在れるに、縉紳の敦く逼るも、人事に豫らざるを恐る。況んや今にして自らの鄉の選せるに、之に反違せんことをや?」と。


(賞譽102)




趙悦

こういうカッコイイこと言う人一発ネタにしないでくださいよ……他の人物に混ぜ込んで用いるしかなくなるじゃん……ていうかこれ別に謝安のこと褒めてない気がすんですけどね? むしろ方正じゃねこれ?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る