桓温7  竹頭木屑    

陶侃とうかんさんは倹約家にして精勤家。


水系の非常に多い荊州けいしゅうでは

船づくりが盛んである。

その際には木を切らねばならない。

するとおがくずが沢山出る。


陶侃さん、荊州の長官であった時、

このおがくずを集めて

保管しておくように、と仰った。

配下の者は首をかしげる。

何の役に立つねんこんなん。


さて正月、年始の儀式を

執り行おうってところに、

めったにない大雪が降った。

間もなく晴れたため、大急ぎで除雪作業。

しかし地面はぬかるみ、足場が心もとない。


さあ、そこで登場するのが

例のおがくずですよ。

ぶばっと地面に敷き詰めれば、

どろどろだった足場も何のその。

こうして年始の儀式は恙無く執り行われた。


他にもこんな話がある。

竹を使って諸々を作った後に

残された竹の欠片。

これらもやっぱり保管させる。


陶侃さんが生きていた時代にこそ

用いられなかったそれらは、

何と桓温かんおんさまの時代、ことごとくが

しょくを討伐する船の為の釘に化けた。


また、こんな話も残っている。


領内の竹竿を徴発したところ、

ある一高官は根っ子ごと持ってきた。

陶侃さま、この人のことを

「特に重用に値する人物だ」と、

抜擢し、配下に加えるのだった。



陶公性檢、厲勤於事。作荊州時、敕船官悉錄鋸木屑不限多少。咸不解此意、後正會、值積雪、始晴。聽事前除雪、後猶濕。於是悉用木屑覆之、都無所妨。官用竹、皆令錄厚頭。積之如山。後桓宣武伐蜀、裝船悉以作釘。又云嘗發所在竹篙、有一官長連根取之。仍當足乃超兩階用之。 


陶公の性は檢にして、事にては厲に勤む。荊州に作さる時、船官に敕し、多少を限らず、悉くの鋸木の屑を錄せしむ。咸な此の意を解さず。後に正會に值りて雪積もり始め、晴れる。聽事の前に雪を除くも、後にして猶お濕る。是に於いて悉く木屑を用いて之を覆い、都て妨ぐる所無し。官の竹を用うるに、皆な厚頭を錄せしむ。之の積まるること山の如し。後に桓宣武の蜀を伐ち、船を裝せるに、悉く以て釘となす。又た云う、嘗つて所在の竹篙を發するに、一官長の根を連ねて之を取る有りと。仍りて當に乃ち兩階を超えて之を用うるに足るべしとす。


(政事16)




ラストがよくわからん。「根っ子がついた竹がめっちゃ倹約の視点からベリグーだったらしい」までしか踏み込めない。

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