王導7  就任記念大宴会 

王導おうどうさま、

楊州刺史の地位を拝領した際、

数百人もの賓客を招き、

盛大に宴会を開いた。


その盛大なおもてなしに、みな大喜び。

しかし臨海りんかい出身のじんさんと言うひとと、

胡人の何人かはまだ不満そうでいた。


そこで王導さま、任さんの所に立ち寄って


「貴方が臨海から

 出てきてしまったのですから、

 今、臨海には目ぼしい人がおりませんな」


と声を掛けた。

すると任さん、大喜び。


また胡人たちの側に行くと、指をはじいて


「ランジャ、ランジャ」


と呼びかけた。

これに胡人たちは大喜び。


こうして誰も彼もを笑顔にしました、とさ。




王丞相拜揚州,賓客數百人並加霑接,人人有說色。唯有臨海一客姓任及數胡人為未洽,公因便還到過任邊云:「君出,臨海便無復人。」任大喜說。因過胡人前彈指云:「蘭闍,蘭闍。」群胡同笑,四坐並懽。


王丞相の揚州を拜せるに、賓客數百人は並べて霑接を加えられ、人人に說びの色有り。唯だ臨海の任なる姓の一客、及び數なる胡人に未だ洽ねく為らざる有り。公は因りて便ち還りて到り、任の邊に過りて云えらく「君の臨海を出れるに、便ち復た人無きなり」と。任は大いに喜說す。因りて胡人の前を過れるに、指を彈きて云えらく「蘭闍蘭闍」と。群胡は笑えるを同じうす。四坐は並びに懽ぶ。


(政事12)




任さんへの呼びかけ、普通に考えたら臨海 dis だよなぁ……となると、「そう言う褒め方で喜ぶようなゴミ」と任さんについて把握した上で呼びかけてるってことになる。


王導さまの人心掌握術半端ねえ。

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