李勢1 桓温さまの勝負勘
いきなり
群臣総ツッコミである。
「正気ですか?
今の
蜀に勢力を築き上げています。
しかも成都を落すためには、
三つの川を越えねばなりません。
自然の堀が三重にも
敷かれているようなものです。
そう簡単には落とせませんよ」
だが、
「あれはやるぞ。
何回か博打で勝負したことがあるが、
奴は勝てん勝負には動かん男だ」
桓公將伐蜀。在事諸賢咸以「李勢在蜀既久、承藉累葉、且形據上流三峽。未易可克。」唯劉尹云「伊必能克蜀。觀其蒲博、不必得則不為。」
桓公は將に蜀を伐たんとす。事に在りて諸賢は、咸な以えらく「李勢の蜀に在すの既にして久しく、藉を承くること葉を累ぬ。且つ形は三峽の流れの上に據されば、未だ克せるは易からず」と。唯だ劉尹は云えらく「伊れ必ずや蜀を克つ能わん。其の蒲博を觀るに、必ず得ざれば則ち為さず」と。
(識鑒20)
李勢
バカ。忠臣を遠ざけ、荒淫に耽り、無事桓温に攻め込ませる隙をどでかく作って差し上げ、うまうまと滅ぶ。成漢の滅亡が 347 で、死亡が 361 年とか、よくもまぁ生き恥を晒せているものである。
五胡諸国のこと国名でなく、あくまで個人名で呼ぶところに「奴らは反逆者です」的なニュアンスが感じられますね。あとこのエピソードから感じられるのは、桓温と東晋の諜報機構が別ものであり、しかもその質が全く違っていた、という事。
まぁ「実態がどうだったか」ってところを言い出しちゃうと黙り込むしかないんだけどさ。あと劉惔さん、桓温さん別のエピソードでは樗蒲に負けてすかんぴんにされてますよ。
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