簡文7 華林園にて
これは
皇帝の為の庭園だ。
華林園に設えられた木々、池を見て、
簡文さま、周りの者に言う。
「意に叶う場所、とは、
必ずしも遠くはなくともよいのだ。
この華林にて逼塞する林水にも、
また
同じような思いはあるのやも知れぬ。
共に荘子は活き活きとしている、
と言っていた。
ここにいる鳥や獣、魚たちとて、
ここがどのような場であるかなどに
思いを致さず、我らに
親しんでいるのであろう」
簡文入華林園、顧謂左右曰:「會心處、不必在遠。翳然林水、便自有濠濮閒想也。不覺鳥獸禽魚自來親人。」
簡文は華林園に入れるに、顧みて左右に謂うて曰く「會心の處は必ずや遠きに在らず。翳然たる林水も便ち自ら濠濮の閒の想い有したるなり。鳥獸禽魚も、覺えずして自ら來りて人に親しむ」と。
(言語61)
濠水の魚
荘子がお友達の
濮水の亀
濮水で泳ぐ亀を眺めているときに、宮廷からのスカウトマンがやってきた。「貴方の才能を眠らせておくのは惜しい!」と言うスカウトマンに対して、荘子の返しは「宮殿には死後数千年も経つという聖なる亀の骨があるというじゃないですか。私、そんな骨であるより、この亀のように泥にまみれていたいですよ」って返した。
まーたこういう幾重にも意図練り込んできていそうな……
ひとつめは「ここが我らの故郷だよ」。つまり中原はもう異国人の地だよ、と。
ふたつめは、似てるけど「逼塞してても、それはそれで」。この場所はこの居場所で素晴らしい、ならばここを保全しましょう。
みっつめは、……予備スペース。いろいろ予断はあるんだけど、変に決めきって、こっから先の簡文像に、変な色を付けたくない。
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