羊祜2 生き字引を前に
魏の代までにずいぶんと煩瑣になった
諸ルールを簡易化しよう、と
新ルールの制定に動いていた。
この件については、
達人にお伺いを立てるのがいいだろう。
様々な訴訟ごとを裁いてきた。
いわばルールの生き字引である。
賈充、
新ルール案を確認してもらおうとすると、
鄭沖は言った。
「私には古の名裁判官、
厳格な判断はできないのですがね。
どこまでお役に立てるのかどうか」
皮肉である。綱紀を緩めるとか、
民のタガ外すだけじゃんよ。
暗にそうぶつけてきたのだ。
それに対し羊祜、あくまでしれっと言う。
「陛下のお望みは、
世の中をもう少し寛容にしたい、
とのことであらせられます。
より住み良き世の実現のため、
御老のご経験、お貸し願えますまいか」
あーそうですか、と鄭沖、
てきとーに回答した。
賈充初定律令,與羊祜共咨太傅鄭沖。沖曰:「皋陶嚴明之旨,非僕闇懦所探。」羊曰:「上意欲令小加弘潤。」沖乃粗下意。
賈充の初め律令を定むるに,羊祜と共に太傅の鄭沖に咨る。沖は曰く:「皋陶の嚴明の旨は、僕がごとき闇懦の探ぜる所に非ず」と。羊は曰く:「上意は小さく弘潤を加わしむるを欲す」と。沖は乃ち粗に意を下す。(政事6)
鄭沖
まさかの鄭沖さん再登場。でもこれで出番終了らしい。というわけで改めてこの人について紹介しておく。本文にも書いたとおり、曹丕時代以来の重鎮であり、官途末期は「引退させてくださいマジで」ってずっと懇願してたにも拘らず引退させてもらえなかった人。ご意見番として重く見られてたんでしょうね。なのにこのやり取りですか……怖いのう。
皋陶
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